軽油引取税(軽油税)の計算―暫定税率廃止後の税額、価格に占める割合、消費税との関係、免税軽油
軽油引取税の暫定税率は、2026年4月1日に廃止されました。1リットルあたり17.1円の上乗せがなくなりましたが、資源エネルギー庁の調査で軽油の店頭価格の全国平均は、3月30日が159.0円、4月6日が156.6円で、下がったのは2.4円です。
給油代のうち軽油引取税と消費税がいくらかは、給油量と支払額から計算できます。ただし、軽油引取税に消費税がかかっているかどうかは、店の売り方とレシートの書き方によって違います。月に2,000リットル給油する事業者なら、同じ支払額でも、軽油引取税の分を除いて消費税を計算するかどうかで生じる仕入れの消費税の差は、月に2,700円ほどです。
どちらに当たるかは、レシートや請求書の書き方で見分けられます。
今の税率と、廃止された上乗せ分
軽油引取税は、軽油1キロリットルにつき15,000円、1リットルにすると15円です。2026年3月31日までは、この本則の税率に「当分の間」の上乗せが加わり、1キロリットル32,100円でした。暫定税率と呼ばれてきたのはこの上乗せ分で、2026年3月31日に公布された地方税法等の一部を改正する法律により、4月1日に廃止されました。
| 軽油を引き取った日 | 1キロリットルあたり | 1リットルあたり | 内訳 |
|---|
| 2026年3月31日まで | 32,100円 | 32.1円 | 本則15円+上乗せ17.1円 |
| 2026年4月1日から | 15,000円 | 15円 | 本則のみ |
どちらの税率になるかは、軽油を引き取った日で決まります。レシートに軽油引取税が書かれている場合、3月31日までに給油した分は32.1円、4月1日以後の分は15円で計算されています。
税率が17.1円下がった4月1日には、国が元売りなどに出していた軽油の補助のうち、暫定税率に相当する17.1円分も終わりました。この17.1円分は2025年11月27日から出ていて、暫定税率をなくしたのと同じ幅の値下げを、廃止より前に進めるためのものでした。補助は「暫定税率が廃止される4月1日まで」とされていました。
今の店頭価格にも補助が入っています。2026年3月19日に始まった「中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置」は、ガソリンの全国平均価格が170円程度を超えないように元売りなどへ補助金を出す仕組みで、軽油にもガソリンと同じ額が出ています。軽油1リットルあたりの補助は、10月1〜7日が50.7円、10月8〜14日が42.4円です。補助の額は毎週見直されますが、軽油引取税は1リットル15円のまま変わりません。
廃止で減る都道府県の税収は、令和8年度税制改正の大綱の見込みで平年度4,687億円です。大綱は、その分の地方の財源をどう確保するかについて、令和9年度税制改正で結論を得るとしています。
給油代から税額を計算する
レシートの支払額(税込み)と給油量があれば、軽油引取税と消費税を次の順に出せます。この順で計算するのは、レシートや請求書に軽油引取税の額が分けて書かれ、消費税がそれを除いた額にかかっている場合です。
- 軽油引取税 = 給油量 × 15円
- 消費税 = (支払額 − 軽油引取税)× 10/110
- 軽油の代金(税抜き) = 支払額 − 軽油引取税 − 消費税
軽油引取税を先に引くのは、特約店(後で説明する特約業者の店)やその委託を受けた店が軽油引取税の額を分けて示して売る場合、軽油引取税に消費税がかからないためです。軽油引取税の額が分けて示されていない場合や、特別徴収義務者にも、その販売委託先にも当たらない販売店が自分で仕入れた軽油を売る場合は、消費税は支払額×10/110になります。
50リットルを1リットル159.6円で給油し、7,980円を払った場合は次のとおりです。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|
| 軽油引取税 | 50リットル × 15円 | 750円 |
| 消費税 | (7,980円 − 750円)× 10/110 | 657円 |
| 軽油の代金(税抜き) | 7,980円 − 750円 − 657円 | 6,573円 |
消費税は1円未満を切り捨てました。3月31日までに給油した分なら、軽油引取税は50リットルで1,605円でした。
価格に占める割合も同じ式で出せます。資源エネルギー庁が毎週調べている軽油の店頭価格(全国平均、消費税込み)を使い、軽油引取税が分けて扱われる売り方を前提に計算すると、次のようになります。全国平均に含まれる店の売り方ごとの内訳は、この資料からは分からないので、表は調査が示した内訳ではなく計算例です。
| 内訳 | 2026年3月30日(159.0円) | 2026年10月5日(159.6円) |
|---|
| 軽油引取税 | 32.1円(20.2%) | 15.0円(9.4%) |
| 消費税 | 11.5円(7.3%) | 13.1円(8.2%) |
| 残り(軽油の代金) | 115.4円(72.6%) | 131.5円(82.4%) |
割合は四捨五入したため、3月30日の列の合計は100.1%です。店頭価格はほぼ同じでも、軽油引取税の割合は約2割から1割弱になりました。
軽油引取税は量に対してかかる税なので、店頭価格が上がっても下がっても1リットル15円のままです。価格が高いほど、割合は小さくなります。
残りの軽油の代金には、原油や輸入した石油製品の段階でかかる石油石炭税(地球温暖化対策のための上乗せを含めて1キロリットル2,800円)も含まれます。補助による引き下げが表れるのも、この部分です。
払う人と納める人
軽油引取税は、特約業者か元売業者から軽油を引き取った人に課されます。元売業者は、軽油を製造・輸入・販売する業者のうち総務大臣が指定した業者です。特約業者は、元売業者と契約して軽油の供給を受けて売る業者のうち、都道府県知事が指定した業者です。
特約業者や元売業者は、軽油の代金と一緒に軽油引取税を受け取り、毎月末日までに前月分をまとめて、軽油を納入した場所の都道府県に申告して納めます(特別徴収)。軽油引取税は都道府県の税で、2009年度からは使い道を道路に限らない税です。
給油する人から見ると、払い方は店によって2通りあります。
- 特約業者の店、または特約業者から販売を任された店で給油した場合: 給油した人が軽油引取税を払う本人で、店が受け取って都道府県に納めます
- 特約業者ではない販売店が、自分で仕入れた軽油を売っている場合: 販売店が特約業者から仕入れたときに軽油引取税を払っていて、給油した人はその分を含んだ価格を払います
自社のタンクに特約業者から軽油を配送してもらう事業者は、事業者自身が払う本人で、納め先はタンクのある都道府県です。給油カードを発行した店と給油した店が別の都道府県にある場合も、東京都の手引きの例では、給油した店がある都道府県に納められます。
軽油の代わりに灯油や重油などを車の燃料にして道路を走ると、使った量に軽油引取税がかかり、車の保有者が申告して納めます。承認を受けずに軽油に灯油などを混ぜて造った不正軽油は、それと知って買ったり受け取ったりすると、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金、またはその両方の対象です。会社の業務として行えば、会社にも1億円以下の罰金が科されます。
軽油引取税と消費税の関係
軽油引取税は、軽油を引き取る人が納める義務を負う税なので、国税庁は、軽油引取税の額を請求書や領収証で相手に示し、預り金などとして分けて扱っていれば消費税の計算の元になる額(課税標準)に含めず、分けていなければ含めるとしています。店の売り方による違いは、次の注記のとおりです。
軽油引取税は、その特別徴収義務者である特約店等が販売する場合(特約店等からその販売委託を受けてサービス・ステーション等が販売を行う場合を含みます。)は課税標準に含まれませんが、特別徴収義務者に該当しないサービス・ステーション等が販売する場合には、課税標準から軽油引取税を控除することはできません。
特別徴収義務者にも、その販売委託先にも当たらない販売店が、自分で仕入れた軽油を売る場合は、軽油引取税を含めた支払額全体に消費税がかかります。軽油引取税の額が分けて示されていない場合も同じです。10月5日の全国平均159.6円で比べると、1リットルあたりの消費税は、軽油引取税が除かれる場合なら13.1円、除かれない場合なら14.5円です。
事業者が帳簿をつけるときは、レシートや請求書で10%の消費税がどの額にかかっているかを見ます。軽油引取税が分けて書かれ、10%がそれ以外の額にかかっていれば、軽油引取税の分は課税仕入れに入れません。この分は取引の対価に含まれない額です。国税庁の区分に当てはめると、対価を得て行う取引に当たらない「不課税」(対象外)の側で、土地や社会保険医療のような「非課税」とは別です。10%が支払額全体にかかっていれば、全額を課税仕入れとして扱います。
勘定科目については、マネーフォワードの会計解説が、燃料費や車両費などにまとめる処理と、軽油引取税だけを租税公課に分ける処理を挙げ、会社の会計方針や会計ソフトによって異なるとしています。
ガソリンでは扱いが逆です。ガソリンにかかる揮発油税と地方揮発油税はメーカーなどが納める税で、販売価格の一部になっているため、消費税の課税標準に含まれます。2025年12月31日に暫定税率分が廃止されたあとの税率は、揮発油税と地方揮発油税を合わせて1リットル28.7円です。
免税軽油を使える用途と手続
軽油は、どんな用途に使っても原則として軽油引取税がかかります。免税になるのは、法令に列挙された事業と機械の用途に使う軽油で、都道府県から免税証の交付を受けるなどの手続を踏んだものだけです。主な区分は次のとおりです(東京都の手引き、2026年4月現在)。
| 使う人 | 免税になる用途 |
|---|
| 農業・林業を営む人など | 耕うん整地用・栽培管理用・収穫調整用・畜産用などの機械、製材機・集材機などの動力源 |
| とび・土工工事業の許可を受け、専らとび・土工・コンクリート工事を行う業者 | 工事現場で専らくい打ち・くい抜き・掘削・運搬に使う建設機械の動力源(カタピラ付きで、自動車登録を受けていないもの) |
| 船舶の使用者 | 船の動力源(専らレクリエーションに使う船を除く) |
| 鉄道・軌道の事業者など | 鉄道・軌道用車両の動力源 |
| 登録を受けた倉庫業者 | 倉庫で専ら倉庫業に使うフォークリフトなどの動力源(自動車登録を受けていないもの) |
このほか、セメント製品・生コンクリートの製造、鉱物の掘採、港湾運送、空港の地上作業、廃棄物の埋立処分、木材加工、スキー場の索道事業などで使う特定の機械も対象です。どれも、使う場所と機械の種類が決められています。
トラックやダンプなど道路を走る登録車の燃料は、運送業でも建設業でも免税になりません。建設機械も、カタピラ(クローラー)を持たないものや自動車登録を受けたものは、とび・土工工事業の区分から外れます。
手続は、まず「免税軽油使用者証」の交付を受け、次に軽油を買う販売業者と数量を書いて「免税証」の交付を受けます。申請先は、免税軽油を使う事務所や事業所のある都道府県です。軽油は原則として、免税証に書いた販売業者から免税証と引き換えに買います。買った量と使った量は、原則として翌月末日までに毎月報告します。東京都では、使用者証の有効期間は3年以内(今の制度では最長で2027年3月31日まで)、免税証は1年以内で設定され、交付は申請からおおむね6開庁日後です。
免税証の量では足りずに税込みで買った軽油を免税の用途に使ったときも、使った事実と量を免税証の交付元の都道府県に証明して承認を受ければ、その分の税額が戻ります。免税証を交付した都道府県に係る免税取扱特別徴収義務者から直接買った場合はその業者が申請し、ほかの販売店から買った場合は、その販売店を通じて、その店に軽油を卸した、免税証を交付した都道府県に係る免税取扱特別徴収義務者に申し出ます。
免税軽油を免税の用途以外に使ったり、承認を受けずに他人に譲ったりした分は、軽油引取税の課税の対象です。承認を受けない譲渡と譲受けの罰則は、2年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金です。
今の免税の特例は、2027年3月31日までの引取りが対象です(石油化学製品の原料にする軽油は期限なし)。延長には法改正が必要で、2026年8月の令和9年度税制改正の要望で、農林水産省は農業用機械などについて2030年3月31日までの3年延長を求めました。国土交通省も、船舶・鉄道・建設機械・倉庫のフォークリフトなどについて同じ期間の延長と、海上保安庁の船の恒久化を求めています。
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