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社用車を5台以上(定員11人以上の車なら1台から)使う事業所(緑ナンバーの運送事業者などを除く)では、2023年12月1日から、安全運転管理者が運転の前と後にアルコール検知器(アルコールチェッカー)で運転者の酒気帯びを確かめる決まりになっています。
道路交通法で酒気帯び運転として罰せられるのは、呼気1リットルあたり0.15mg以上(血液なら1ミリリットルあたり0.3mg以上)のアルコールを体に持っている状態です。2026年7月21日からは、酒酔い運転にも呼気1リットルあたり0.5mg以上(血液なら1ミリリットルあたり1.0mg以上)という数値の線が加わりました。では、朝の確認で検知器が0.10mg/Lを示した運転者に、社用車の鍵を渡してよいのでしょうか。
運転者がこの酒気帯び運転の基準以上の状態で業務の運転をしたとき、会社側がそれを容認していれば、容認した側にも3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金があり、酒酔い運転ならさらに重くなります。業務中の飲酒運転を摘発したら、安全運転管理者が選ばれていたか、その業務がされていたかも確かめるよう、警察庁は都道府県警察に通達しています。確認の内容は、決まった項目で記録して1年間残す決まりです。
アルコールチェックは安全運転管理者の業務で、安全運転管理者を選んでいる事業所が行います。選任の決まりがあるのは、事業所(自動車の使用の本拠)ごとに数えて、次のどちらかに当たるときです。
大型・普通自動二輪車は1台を0.5台として数え、原付は数えません。本店3台・支店2台のように、合わせて5台でも事業所ごとに5台に届かなければ、どちらも選任は要らないと山形県警察は答えています。安全運転管理者は年齢や運転管理の経験の条件を満たす人から選び、選んだ日から15日以内に届け出ます(窓口は事業所を受け持つ警察署)。
台数の数え方は、都道府県警察の答えが分かれるところがあります。
| 車 | 台数に入るか(答えている警察) |
|---|---|
| 通勤だけに使う従業員のマイカー | 入らない(愛知・山形) |
| 業務に使う従業員のマイカー | 名義に関係なく入る(愛知・山形)。自宅から営業先へ直行直帰に使う例では、原則入らないが、会社が借りるなどして事実上支配していれば入る(埼玉) |
| 業務に使うリース車 | 入る(愛知・山形) |
| 自動車販売店の代車・試乗車 | 原則入る。代車も車検証上の使用者は事業所だから、という理由(埼玉) |
| ナンバーを付けて公道を走るフォークリフト | 入る(愛知・埼玉) |
| レンタカー業の貸出用の車 | 入らない(山形) |
業務に使うマイカーのように答えが分かれる車や、表に無い車の扱いは、事業所を受け持つ警察署で確かめられます。
緑ナンバーの運送事業者(バス・タクシー・トラック)は安全運転管理者の制度の対象外で、従うのは運送事業の点呼の決まりです。同じ会社が持つ白ナンバーの車にも、この制度による確認の義務はかかりません(京都府警察・埼玉県警察)。第二種貨物利用運送事業者と自家用有償旅客運送事業者の事業所も対象外です(警察庁)。ただし軽自動車で貨物を運ぶ運送事業(黒ナンバー)は、道路交通法の条文上この除外に入っておらず、台数に当たれば安全運転管理者を選びます。
台数に届かず安全運転管理者を選んでいない事業所には、この確認の義務はありません(京都府警察)。台数に届かなくても安全運転管理者を選んで届け出ている事業所は、酒気帯びの確認を含めて安全運転管理者の業務をすべて行う必要があると、埼玉県警察は答えています。
安全運転管理者は、運転しようとする運転者と運転を終えた運転者の両方について、顔色や呼気の臭い、受け答えの声の調子などで状態を確かめ(目視等)、アルコール検知器でも確かめます。
「運転の前と後」は1回ごとの運転の直前・直後でなくてよく、1日に何度運転しても、運転を含む業務の開始前か出勤時、業務の終了後か退勤時に確かめれば足ります(警察庁)。次のような場合は回数の数え方が変わります。
業務で運転しない従業員は確認の対象外です。ただし、ふだん運転しない人でも、臨時に業務で自動車を運転するならその前後の確認が要ると石川県警察は答えています(整備工場なら、ふだん事務をしている人が代車を届けに行く日など)。
確認するのは安全運転管理者が原則です。安全運転管理者が不在のときや、ほかの業務で確認の時間を十分にとれないときは、副安全運転管理者や補助者に確認させてかまいません(警察庁)。補助者は安全運転管理者があらかじめ指定し、確認のやり方と、酒気を帯びた運転者を見つけたときの対応を教えておきます。見つけたときは、安全運転管理者にすぐ報告して指示を受けるか、安全運転管理者が運転者に直接、運転の中止を指示します。
補助者に資格の条件は無く、警察への届出も要りません(埼玉県警察・京都府警察)。確認の業務を外部の事業者に委託することもできます(警察庁)。
安全運転管理者の確認を定めた規則にも警察庁の通達にも、「この数値までなら運転してよい」という線はありません。確かめるのは「酒気帯びの有無」です。検知器も、呼気のアルコールを検知して、その有無か濃度を警告音・ランプ・数値などで示すものなら足ります。
道路交通法で数値が出てくるのは、運転者を罰したり免許を処分したりする線です。
| 区分 | 要件 | 罰則 | 行政処分(前歴などが無い場合) |
|---|---|---|---|
| 酒気帯び運転 | 呼気1リットルあたり0.15mg以上、または血液1ミリリットルあたり0.3mg以上で、酒酔い運転に当たらないもの | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 呼気0.15mg/L以上0.25mg/L未満は13点・免許停止90日。呼気0.25mg/L以上は25点・免許取消し(欠格期間2年) |
| 酒酔い運転 | 呼気1リットルあたり0.5mg以上、または血液1ミリリットルあたり1.0mg以上(この数値は2026年7月21日から)、またはアルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある状態 | 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 35点・免許取消し(欠格期間3年) |
0.15mg/L未満でも、酒気を帯びて運転すること自体は道路交通法で禁じられています(警察庁)。
埼玉県警察のQ&Aは、アルコールが検知されたときの措置を次のように答えています。
アルコールが検知された場合は、基準値に満たない数値であっても、絶対に車両を運転させないでください。
京都府警察も、検知器で「若干」の酒気帯びがあったが基準値以下だった、という問いに、前日の酒が翌朝まで残っていることもあるとして、若干でも酒気を帯びた状態での運転は厳禁と答えています。緑ナンバーの運送事業では、点呼で確かめる「酒気帯びの有無」は、呼気0.15mg/L(血液0.3mg/mL)以上かどうかを問いません(国土交通省の通達)。
飲んでいないのに検知器が反応することもあります。警察庁の通達とQ&Aには、反応したときの測り直しの記述はありません。
国土交通省が2010年に運送事業者向けに出した「アルコール検知器義務化に関してよくある質問」は、ガムや発酵食品などの飲食物やたばこで反応することがあるとして、うがいをさせる、少し時間をおくなどしてから測り直すよう答えています。アフターシェーブローションや入れ歯安定剤など、体に付けるものに含まれるアルコールにも反応することがあるとしています。測り直してもまだ反応するときは、アルコールが体内に残っている可能性があるので乗務させないように、という答えです。糖尿病の人の体内でできるケトン体など、アルコール以外の物質に反応するとされる検知器もあり、明らかに酒気を帯びていないと考えられるときは医師に相談するよう書いています。
「常時有効に保持」とは、正常に作動し、故障がない状態で保持しておくことです。警察庁は、製造元の取扱説明書に従って使い、管理し、保守したうえで、定期的に故障の有無を確かめ、故障していないものを使うよう求めています。京都府警察は、使用回数や期限を守るよう書いています。
白ナンバー向けの通達は「定期的に」と書くだけで、確かめる回数は決めていません。緑ナンバーの運送事業では、国土交通省が次の頻度を決めています。
| 頻度 | 確かめること |
|---|---|
| 毎日(運転者に持たせる、または車に付いた検知器を使うなら出発前) | 電源が確実に入る。損傷がない |
| 少なくとも週1回(毎日が望ましい) | 酒気を帯びていない人が使って反応しない。洗口液などアルコールを含む液体を口に噴霧してから使うと反応する |
検知器が故障したときに代わりとなる方法は無く、検知器を使った確認が必ず要ると京都府警察は答えています。
検知器は使用者(会社)が買うのが基本です。事業所の事情で運転者が個人で買った検知器を使うなら、安全運転管理者が定期的に作動と故障の有無を確かめるなど、会社の検知器と同じ管理をしているものに限って使えます(警察庁)。アルコールを検知するとエンジンがかからなくなる装置(アルコールインターロック)も、検知器に含まれます。
確認した内容は記録して、1年間保存します。警察庁の通達が挙げる項目は次の8つです。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 確認者名 | 確認した人の名前 |
| 運転者 | 運転者の名前 |
| 自動車 | 運転者が業務で使う車の登録番号、または車を見分けられる記号・番号 |
| 確認の日時 | 確認した日時 |
| 確認の方法 | 対面か。対面でないときは具体的な方法(カメラ・モニター、携帯電話など) |
| 酒気帯びの有無 | 有か無か |
| 指示事項 | 運転者に出した指示 |
| その他必要な事項 | ― |
検知器の測定値(何mg/Lだったか)は、この8項目に入っていません。
記録の様式は決まっておらず、紙でもデータでも保存できます。運転者の確認を安全運転管理者などが行っていれば、記録への記入や入力は誰がしてもかまいません(京都府警察)。京都府警察のQ&Aの最終ページと、山形県警察の案内の裏面には、記録表の見本が載っています。
警察庁の通達は、運転前の点呼で確かめた体調や日常点検の結果も、点呼簿やチェック表などで記録するよう努めることを求めています。
確認は対面が原則です。直行直帰など対面が難しいときは、運転者に携帯型の検知器を持たせたうえで、対面と同じとみなせる方法で確かめます(警察庁)。
京都府警察は、検知器の結果を撮った写真をメールで送らせる方法は認めないと答えています。メールやFAXのような一方通行の連絡では足りず、運転者と直接話せる方法が要るという理由です。検知器から結果だけが自動で安全運転管理者に送られる仕組みでも、確認済みにはできないとしています。
緑ナンバーで使われている、国土交通省の認定を受けた機器による自動点呼は、白ナンバーで使ってもかまわないというのが警察庁の考えです。機器の機能の一部を使わないやり方は、点呼とは認められないとの考えも示しています。
出張先が同じ会社のほかの事業所で、そこにも安全運転管理者がいて、そこで運転を始めたり終えたりするなら、次の2つを両方行えば確認したものとして扱えます(警察庁)。
運転者が酒気を帯びていると分かったら、所属する事業所の安全運転管理者が、自分で、または出張先の安全運転管理者を通じて、運転の中止を指示します。京都府警察は、出張で社用車を使う場合も、対面での確認が難しければ直行直帰と同じ方法で確かめるよう答えています。
出先で急にレンタカーを借りたときは、事業所が管理する車ではないので確認は要らない、というのが埼玉県警察と京都府警察の答えです。京都府警察は、レンタカーなどでも事業所の管理のもとで業務に使っているなら確認が要るとしています。
緑ナンバーの運送事業でも、点呼で運転者の酒気帯びを検知器で確かめ、記録を残します。決まりを作っているのは国土交通省で、白ナンバーの安全運転管理者の決まり(警察)とは次の点が違います。
| 白ナンバー(安全運転管理者) | 緑ナンバー(運送事業の点呼) | |
|---|---|---|
| 確認する人 | 安全運転管理者。不在などのときは副安全運転管理者や補助者 | 運行管理者。補助者に任せても、運行管理者が全体の3分の1以上の点呼を行う |
| 確認する時 | 運転を含む業務の開始前(出勤時)と終了後(退勤時) | 業務前と業務後の点呼。トラックは、どちらも対面などでできない運行なら途中でも少なくとも1回 |
| 対面でない確認 | 直行直帰など対面が難しいときに、カメラ・モニターや携帯電話など | 国土交通大臣が定める遠隔点呼・自動点呼は対面と同じ扱い。電話などで済ませてよいのは、遠隔地で業務を始める・終えるなど「運行上やむを得ない場合」だけで、車庫と営業所が離れている、早朝・深夜に点呼する人が出勤していない、は当たらない |
| 検知器 | 有無か濃度を示せばよい。個人で買ったものも、事情があって使う必要があり、会社と同じ管理をしているなら可 | 性能の要件は当面問わない(ほかの営業所の検知器を使う場合の例外は表の下)。営業所ごとに備え、原則として運転者の属する営業所の検知器を使う |
| 検知器の点検 | 取扱説明書に従い定期的に | 毎日と、少なくとも週1回 |
| 酒気帯びかどうかの線 | 規則・通達に数値の線は無い。0.15mg/L未満でも酒気を帯びての運転は禁止 | 酒気帯び運転の基準(呼気0.15mg/L・血液0.3mg/mL)以上かどうかを問わない |
| 記録 | 8項目、1年保存 | 点呼の記録(検知器を使ったか、体調、日常点検なども含む)、1年保存。貸切バスは電磁的記録を3年 |
緑ナンバーで、電話点呼のときに運転者にほかの営業所の検知器を使わせてよいのは、その営業所で乗務を始める・終える場合です。相手の営業所は、トラックなら同じ事業者のほかの営業所です。バス・タクシーはそれに加えて、乗合バスの共同運行や、許可を受けた管理の委託・受託の運行の相手の営業所も、その運行のときに限って使えます。検知器はその営業所に常に置いてあり、日時と測定値を自動で記録できるものに限られ、測定結果を所属の営業所の運行管理者などに報告させるのが条件です。使い方を双方の営業所の運行管理規程に書いて関係者に知らせること、相手の営業所の運行管理者などの立ち会いのもとで測ること、所属の営業所が一定期間ごとに相手から測定記録かその写しを受け取って確かめることも、国土交通省の通達に書かれています。バス・タクシーで他社の営業所の検知器を使うときは、使い方の取り決めを事業者どうしで書面に残します。
アルコールチェックをしなかったこと自体に罰金を定めた条文はありません。
公安委員会は、安全運転管理者が業務を守らず、安全な運転が確保されていないと認めたときは、会社に安全運転管理者の解任を命じることができます。会社が安全運転管理者に必要な権限を与えていない、または業務に必要な機材を整えていないために安全な運転が確保されていないと認めたときは、是正の措置を命じることができます。これらの命令に従わないと50万円以下の罰金で、違反した人のほか、会社などの法人も罰金の対象です。
警察庁の通達は、飲酒運転などの原因が、会社が安全運転管理者に必要な権限を与えていなかったことなどにある場合に、是正の命令を検討するよう都道府県警察に求めています。
選任の決まりがある事業所が安全運転管理者を選んでいないと50万円以下の罰金、選んだときや解任したときに15日以内に届け出ないと5万円以下の罰金です。
業務に関して、運転者が酒気を帯びて運転するよう命じたり、それを容認したりすることは、会社と安全運転管理者などに禁じられています。運転者が酒気帯び運転の基準(呼気0.15mg/L・血液0.3mg/mL)以上の状態で運転したときは、命じたり容認したりした人に3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、酒酔い運転だったときは5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金があり、会社も罰金の対象です。公安委員会は、その会社が業務で車を使うと交通の危険を著しく生じさせるおそれがあると認めたときは、違反に使われた車を最長6か月運転させないよう命じることもできます。
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