大規模な地震が発生した直後、被災地で最もドライバーを悩ませるのが「道路の不通」です。
橋の崩落、道路の隆起・亀裂、土砂崩れ、建物の倒壊によって、昨日まで当たり前に走っていた道が瞬時に途絶えてしまいます。「行ってみたら行き止まりだった」と右往左往しているうちに二度目の余震に襲われたり、渋滞に巻き込まれて避難が遅れたりする危険は避けなければなりません。
こうしたパニックからドライバーや避難者を救うため、熊本地震をはじめとする大規模災害時に絶大な効果を発揮しているのが、自動車メーカーが提供する「通れた道マップ(通行実績情報)」です。
今回は、災害時にスマホに入れておくべき最強のナビツール「通れた道マップ」の仕組みと、いざという時の活用テクニックを分かりやすく解説します。
「通れた道マップ」とは、トヨタやホンダなどの自動車メーカーが、自社のコネクティッドカー(通信機能付きの車)から収集した走行データを分析し、「直近で実際に車が走ることができた道路」を地図上に可視化したサービスです。
「普段使っているスマホのナビアプリじゃダメなの?」と思われるかもしれません。しかし、災害時には決定的な違いが生まれます。
| 項目 | 一般のナビ・地図アプリ | 通れた道マップ(通行実績) |
|---|---|---|
| 情報の基準 | 平時の道路データ・規制情報 | 直近(3時間〜24時間)の走行実績 |
| 反映スピード | 警察や道路管理者の発表待ち | 車が通過したデータから順次反映 |
| 災害時の強み | 目的地までの最短ルート案内 | 崩落・土砂崩れを避けた「生きてるルート」の発見 |
一般的なナビは「通行禁止の届出が出ているか」を重視しますが、地震直後は現場の確認が追いつかず、通行不能な道路が「通行可能」として案内されてしまうことがあります。
一方、通れた道マップは「実際に車が通れたという事実」だけを可視化するため、被災地での孤立や迷子を防ぐ最も信頼性の高い情報源となるのです。
災害が発生し、対象地域で「通れた道マップ」が一般公開されたら、以下のポイントを意識して確認しましょう。
多くの「通れた道マップ」では、表示する時間軸を切り替えられます。
地震直後や余震が続いている最中は、「直近3時間」のデータに切り替えるのがおすすめです。24時間前のデータでは、その後の余震で崩落した道路が含まれている可能性があるためです。
青い線が引かれていない道路は、「通行不能」か「誰も走っていない(データがない)」のどちらかです。被災時にはギャンブルをせず、確実に青い線が引かれている幹線道路や主要ルートを選んで移動してください。
トヨタの「通れた道マップ」などでは、通行実績だけでなく、JARTIC(日本道路交通情報センター)の通行止め情報や被災地の航空写真を同じ画面に重ねて表示できます。
いざという時に慌てないために、事前の準備と利用上のマナーを押さえておきましょう。
道路が寸断された被災地において、「通れる道がわかる」ことは命に直結します。
熊本地震でも多くの被災者や救援隊の移動を支えたこのテクノロジー。ぜひ今すぐご自身のスマホに「通れた道マップ」をブックマークし、万が一の際の避難・移動の備えとして役立ててください。