そろそろ車検の時期。
指定工場・認証工場の皆さんにとって避けては通れない「OBD検査(車載式故障診断装置を活用した検査)」の最新動向について解説します。
2024年10月からプレ運用等が始まっていますが、直近の審査事務規程改正(第68次改正)により、合否判定に関わる「特定DTC(故障コード)」の対象範囲が拡大していることをご存じでしょうか?
資料によると、これまでは対象外だった一部の先進安全装置も、故障コードが入っているだけで車検に通らなくなる規定が追加されています。
「メーターの警告灯が消えていればOK」という従来の感覚のままでは、再検査で痛い目を見る可能性があります。現場で慌てないためのポイントを整理しました。
近年の車は、自動ブレーキやレーンキープアシストなど、電子制御の塊です。これらの装置は、外観検査やブレーキテスターだけでは正常に動いているか判断できません。
そこで導入されたのがOBD検査です。
これは、車載コンピュータ(ECU)に記録された「特定DTC」をスキャンツールで読み出し、保安基準に適合しているかをサーバー判定する仕組みです。
もし対象装置に故障コードが残っていると、たとえ警告灯が点灯していなくても、システム上「不適合」と判定されます。これが今回の制度の怖いところです。
OBD検査を行うためには、以下の準備が必須です。
現場での作業フローは以下のようになります。
ステップ1:車両情報の読み出し
スキャンツールを接続し、車検証情報(型式・類別等)を読み取ります。これにより、その車がOBD検査の対象車両かどうか、どの装置が対象かが自動的に判定されます。
ステップ2:特定DTCの確認
ECUにアクセスし、故障コード(DTC)を読み取ります。
ここで重要なのが、資料にある「特定DTCが1つ以上記録されているものは不適合」という基準です。
ステップ3:判定結果の送信
読み取ったデータは自動的に機構のシステムへ送信され、合否判定が出ます。
ここが今回の改正のキモです。資料(審査事務規程 第68次改正)によると、以下の装置に関連する特定DTCが記録されている場合も、新たに不適合の対象として明記されました。
これらは以前は「警告灯が点灯していなければOK」とされるケースもありましたが、今後はDTCレベルでの管理が求められます。
特に、板金修理などでバンパーを脱着した際、ブラインドスポットモニターのレーダー光軸がずれたままになっていると、特定DTC(未校正など)が記録され、車検に通らなくなる可能性があります。
また、バッテリー上がりなどで一時的に電圧低下系のコードが入った場合も要注意です。修理完了後は必ずDTCを消去し、再確認を行いましょう。
OBD検査は、整備士にとって手間が増えるだけの制度ではありません。
これまで「なんとなく調子が悪い」で済まされていた電子的な不具合を、明確な「故障コード」としてお客様に提示し、整備を提案するチャンスでもあります。
これらを徹底することで、車検の不合格リスクを減らし、お客様に安全な車を提供できます。
詳細な特定DTCのリストや対象車種については、自動車技術総合機構(NALTEC)の特設サイトや、FAINES(日整連の技術情報システム)で最新情報を確認してくださいね。