トヨタは先進のSUVや高級車コンセプトを前面に打ち出しました。ランドクルーザーは「新型ランドクルーザー"FJ"」(参考出品)として世界初公開され、2026年中頃の国内発売が予定されています。耐久性や走破性を重視しつつ伝統的なランドクルーザーらしさを受け継ぐモデルです。また、最上級ブランド戦略の一環として新型「センチュリークーペ」(参考出品)も展示され、2027年度の発売を想定しています。レクサスブランドからは次期フラッグシップ「LS」のコンセプトモデルが登場し、4輪→6輪への変化など豪華さを強調したデザインが注目されました。このほか、次期カローラのコンセプト(市販予定車)やGRシリーズの新プロジェクト車両も出展予定です。

トヨタはブーステーマに「Mobility for All」を掲げ、個々のライフスタイルに合わせた多様なモビリティを提案しています。豊田社長は「TO YOU」と銘打った新CMを紹介し、すべての人に"ちょうどいい車"を届ける姿勢を強調しました。また、グループ企業のダイハツも「ミゼットX」や「K-OPEN」といった軽規格EVコンセプトを通じ、小型車技術の独自性や「自分だけのクルマ」作りを訴求しています(ダイハツ公式サイト参照)。


日産ブースの目玉は新型ミニバン「エルグランド」(参考出品)で、2026年夏発売予定です。存在感ある外観に第3世代e-POWERを搭載し、"グランドツーリング"体験を提供するとしています。合わせて新型EV「日産リーフ」の78kWhモデル(WLTCレンジ最大約702km)や、フラッグシップSUV「パトロール」(中東仕様、2027年投入予定)、新グレード「エクストレイル ROCK CREEK」など、日本市場向け最新モデルを多数展示しています。これらを、漫画の世界観で装飾したブースで展開し、話題性を高めました。
日産は「Intelligent Mobility(インテリジェント・モビリティ)」を掲げ、電動化とコネクテッド技術を訴求しています。エスピノーサ社長は「大胆にエネルギッシュに、より良い未来をつくる」と語り、新商品・技術・サービスを通じて企業ビジョンを示す意図を明かしました。メディア向けには社長自らプレスブースを案内するなど、報道陣の注目を集めました。
ホンダは4輪・2輪・航空機まで幅広いモビリティを展示し、同社の「Power of Dreams」精神を表現しました。世界初公開モデルとしてEVシリーズ「Honda 0(ゼロ)シリーズ」に新たに加わるSUVプロトタイプや、小型EVプロトタイプ、二輪EVコンセプト、電動e-MTB(電動アシスト自転車)試作車などを発表しています。



これらはすべて世界初公開で、使い勝手と「Fun to Drive(操る喜び)」を追求した設計です。さらに、燃料電池車の「CR-Ve:FCEV」に加え新開発ハイブリッド「CR-Ve:HEV」プロトタイプも披露し、エネルギー多様化への取り組みを示唆しました。ホンダブースではプレス向けのプレビューに加え、一般公開中もステージショーで製品・技術解説を行い、来場者に体験価値を提供しています。



マツダは独自のデザイン哲学と技術革新を強調する展示です。世界初公開の「マツダビジョンモデル」は、今後のデザイン方向性を示すコンセプトカーです。また、CX-8をベースにした「CX-8XDドライブエディション」(改良モデル)やCX-5・CX-60の特別仕様車を出展し、既存SUVラインの2025年改良版を前面に押し出しました。マツダは「独自の技術とデザイン哲学」を打ち出すと説明しており、上質な乗り味と洗練された外観に磨きを掛けたモデル群でブランド力を高めようとしています。

スバルブースでは新世代スポーツカー技術をアピールしました。注目は新型BRZの電動版とされる「Performance-E STIconcept」で、300ps以上のモーター出力と0-100km/h加速4秒台、航続距離400km超を目指したBEVコンセプトです。一方、伝統の水平対向エンジンを継続する「Performance-B STIconcept」も参考出品し、2.4Lターボエンジンで280ps以上の高性能化を図っています。全体メッセージとして「Driving the Subaru Difference(スバルらしさの追求)」を掲げ、スポーツ性能とAWD技術による安心感を訴求しています。


スズキは身近なEVから次世代モビリティまで幅広く展示しました。「Vision
e-Sky」は軽規格BEVコンセプトで、通勤や買い物に"ちょうどいい"サイズ・航続距離を実現し、2026年度内の量産化を目指します。軽二輪EVコンセプト「e-VanVan」は、1970年代のレジャーバイクVanVanをモチーフにしたEVで、二輪EVへの親しみやすさと遊び心を表現しています。さらに四脚モビリティ「MOQBA2」は生活支援用途向け、荷物配送や乗用仕様にも対応するプラットフォームで、サポートロボの可能性を示しました。ブース全体テーマは「By
Your
Side(寄り添う)」で、日常生活に溶け込む技術とモビリティ提案を強調しました。


BMWグループは「Neue Klasse(ノイエ・クラッセ)」の第一弾モデルを披露しました。新型BMW iX3(ピュアEV)はアジア初公開され、デジタル操作系「BMW パノラミック iDrive」を搭載するなど最新技術を注ぎ込んだ次世代モデルです。日本導入は2026年後半予定です。このほか、高性能クーペ「M2CS」(限定車)やコンセプトカー「BMW Concept Speedtop」、限定モデル「X7 NISHIKI LOUNGE」「M4 CS VR46」(MotoGPライダー・ロッシとのコラボ)などを展示し、ハイパフォーマンスとラグジュアリーを両立したラインナップを訴求しました。さらにBMWモトラッドからはEVモペッド「CE02」とレース仕様「M 1000
RR」も出展しています。BMWブースは「人を中心に据えたイノベーション」を掲げ、完全電動化と未来技術を体験できる場としました。
ヒュンダイ(現:Hyundai Mobility Japan)は初出展で存在感を示しました。注目は燃料電池SUV「The all-new NEXO」で、JMS2025で日本初公開され、2026年上半期から国内販売開始予定です。新型NEXOは水素燃料電池システムを大幅進化させ、WLTPモードで最大826kmの航続距離を達成するなど性能を強化しました。ヒュンダイは「Hydrogen(H2)・Electrification(電動化)・Imagination(想像力)」という3つの挑戦を掲げ、次世代モビリティへのビジョンを示しています。水素技術のリーダーシップを前面に出しつつ、環境負荷低減への取り組みをアピールしました。
JMS2025では電動化の加速が顕著でした。多くのメーカーが次世代EV・FCVのコンセプトモデルを投入し、2020年代のEVシフトを示しました。ホンダはEV
SUVや小型EVのプロトタイプを世界初公開し、スズキは生活密着型軽EV「Vision
e-Sky」を2026年量産予定で提案。BMWはNeue
KlasseのEV技術をiX3で見せ、ヒュンダイは新型FCV「NEXO」で水素社会をアピールしました。一方、SUV・クロスオーバーの強化も目立ちます。トヨタのランドクルーザーFJ、日産パトロール、マツダの各CXシリーズなど、従来型SUVを進化させたモデルが多数出展されました。ラグジュアリー志向では、トヨタのセンチュリークーペやレクサスLSコンセプトといった最上級モデルが披露され、高級セグメントへの注力がうかがえます。また、軽・小型領域でも新提案が続きました。ダイハツのミゼットX(軽貨物コンセプト)やコペンから派生したK-OPEN、ヤマハのAI搭載二輪ロボット「MOTOROiD」など、これまでにないモビリティが提案されています(各公式サイト参照)。これらから、各社はEV・FCVの技術融合、大型SUVの充実、小型車の新価値創造に注力しつつ、デジタル/コネクテッド技術やラグジュアリー感も追求していることが読み取れます。
業界紙などでは、新車開発における負担増が指摘されています。電動化・自動運転技術の開発には巨額の投資が必要で、各社とも研究開発コストの高騰に直面しています。また、グローバル市場への展開を意識したモデル開発では各国仕様への対応やサプライチェーン管理が複雑化し、納期管理も大きな課題です。加えて、中国系を含む各国メーカーとの競争激化により、品質・価格・ブランド力での差別化がますます重要になっています(国内外の自動車業界報道等による)。ただし、これら具体的な課題については今回の公表資料では直接の言及が見当たらないため、一般的な業界分析の文脈として記しました。
♯ モビリティショーで発表する意図
自動車メーカーがモビリティショーを新車発表の舞台に選ぶのは、メディア露出や来場者体験を通じたブランド訴求を狙うためです。実車を一堂に集めたイベントは多くの報道機関の注目を集め、プレスカンファレンスで新モデルの特長を直接アピールできます。日産ではエスピノーサ社長が報道陣をブース内に案内しながら新型車を紹介する場面があり、現場では各車両の周りに群衆ができるなど高い関心を得ていました。記事にも「新型リーフやエルグランドなど、魅力的な車の周りに来場者が集まっていた」とあり、実車を通じた訴求効果の大きさがうかがえます。また、モビリティショーはメーカーの未来構想や企業姿勢を演出する場でもあります。JBpressのレポートでは「カーボンニュートラル時代に各社がどうモビリティを描くか苦心している」と指摘されており、抽象的な未来像ではなく「実際の車で見せること」の重要性が語られました。総じて、モビリティショーは新型車のプロモーションだけでなく、ブランドイメージの刷新や一般消費者との接点強化にも不可欠な場となっています。