近年のモビリティ分野では、物流業界が直面する社会課題への対応が大きなテーマとなっています。特に、高齢化によるドライバー不足や人手不足、環境問題に伴う燃料・排出ガスの課題への取り組みが重視されており、情報工学や材料工学の進歩もこれらを支える重要要素として認識されています。本記事では、トラックだけではなく、それ以外の多様なモビリティもどのようにこれら社会課題に挑んでいるのか、その最新動向を紹介します。


日本では物流を支える労働力の高齢化と人手不足が深刻化しており、誰もが安心して利用できるモビリティの開発が進んでいます。
たとえば、電動キックボード共有サービスで知られる Luup社 は、高齢者でも安定して乗れる 着座型の三輪電動モビリティ「Unimo(ユニモ)」 を発表しました。全長130cmほどのコンパクトな車体で、道路交通法上は「特定小型原動機付自転車」に分類。最高時速20kmで16歳以上なら免許不要という手軽さが特長です。
さらに、アイシンが開発したリーンアシスト技術により車体の傾きを自動制御してカーブ時でも高い安定性を確保しています。
同様に、人手不足解消へのソリューションとして配送ロボットの活用も目立ちます。たとえば オムロン が展示した自動配送車は、あらかじめ設定されたルートを走行し、受取人がパスワードを入力することで荷物を受け取れる仕組み。宅配のラストワンマイルを無人化し、ドライバー不足に対応する発想です。

また トヨタ のブースでは、車体の両側面が大きく開き、小型のリフト装置を備えた次世代小型トラックも展示されていました。力のない高齢者や女性でも扱いやすく、バリアフリー設計によって誰もが物流作業に参加できることを目指しています。

地球環境問題への対応も物流の未来に欠かせない視点です。
ディーゼルトラックに代わるゼロエミッション車両として、水素エネルギーを活用した大型トラックが注目されています。三菱ふそうは、ジャパンモビリティショー2025で水素を燃料とする2種類のコンセプトトラックを世界初公開しました:


特にH2FCは、水素を電力に変換してモーターを駆動。液体水素により航続距離の延伸と充填時間の短縮を両立し、長距離・重量輸送に対応可能なゼロエミッション物流を目指しています。
また 矢崎総業 は、使用済みバッテリーの再利用に向けた独自システム「BUTTERFLY(バタフライ)」を開発。劣化具合の異なる中古EVバッテリーを高度な制御アルゴリズムで組み合わせ、物流施設や非常用電源として再利用する道を拓いています。

物流の未来像は、単にトラックを電動化・自動化するだけではありません。大小さまざまなモビリティを組み合わせ、効率よく荷物を運ぶ仕組みが模索されています。
ジャパンモビリティショーでも、乗用車以外にゴルフカートのような小型車両や自動運転バス、果ては空飛ぶクルマのコンセプトまで多岐にわたるモビリティが展示されていました。会場全体が「運ぶこと」をテーマに掲げ、ラストワンマイル物流の効率化が大きな焦点になっていたのが印象的です。

特に注目されたのは、三菱ふそうが公開した「COBODI(Connected Load Body)」という次世代物流ソリューション。

同様に、トヨタの次世代小型トラックのように従来は人手に頼っていた作業を車両機構でアシストする動きも拡大しています。
さらに、都市部では小型EVやロボット、中長距離では大型トラックや鉄道・航空、ラストワンマイルには自転車型デリバリーやドローンなど、モビリティを用途別に最適配置する発想が主流になりつつあります。

一見すると物流とは関係なさそうなキャンピングカーも、実は社会課題解決に貢献する新たなモビリティとして注目されています。
2025年6月から内閣府主導の「災害対応車両」制度が開始され、平時に登録されたキャンピングカーやキッチンカーが災害時に即展開できるようになりました。これにより、可動式の仮設住居や作業拠点として活用されるケースが増えています。
キャンピングカーは、
という3つの使い方ができる「柔軟な社会インフラ」になりつつあります。
日本の実情に合わせた開発として、以下の提案がなされています:
キャンピングカーは「豪華な防災バッグ」とも称され、新たな生活インフラとして注目が集まっています。


以上見てきたように、物流の未来を担うモビリティは「トラックだけじゃない」という現実があります。
これら多様な挑戦が相まって、物流とモビリティ業界はより柔軟で持続可能な形へと進化しています。今後の動向から目が離せません。