水陸両用車の歴史は、ロマンではなく、第二次世界大戦の泥沼から始まりました。
ダックツアーが成功したのは、軍用車ならではの「頑丈さ」と「浮力」が高く評価されたからです。ただし、あくまで「水に浮かぶトラックの再利用」であり、「陸上も水上も快適に走れるパーソナルカー」ではありませんでした。

DUKWが再利用で成功する中、人々は「自分で運転できる水陸両用車」という夢を追い求めました。
1960年代、西ドイツから登場したアンフィカー770は、世界で唯一、一般消費者向けに量産・販売された水陸両用乗用車です。

| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 陸上性能 | 最高速度約70km/h(当時の水準としては遅い) |
| 水上性能 | 6.5ノット(約12km/h)。後部のプロペラで推進。 |
| 生産台数 | 約3,878台(多くはアメリカで販売) |
【なぜ失敗したのか?】
アンフィカーのキャッチフレーズは「車としてそこそこ、ボートとしてそこそこ」。この正直すぎるフレーズが、全てを物語っています。
2000年代に入ると、英国のギブス・テクノロジー社がAquada(アクアダ)で再び市販化に挑みます。

【結果とその後】
当初は好評で量産体制も準備されましたが、市販は非常に限定的なものに終わりました。
結局、ギブス社は個人への市販を断念し、高性能水陸両用技術を軍や公共分野にライセンス供与する方向に転換しました。
一般層への「マイカー」としての市販は難航しましたが、水陸両用車のポテンシャルは失われていません。現代では、「究極のレジャー」か「究極の安心」のどちらかに特化しています。

近年、日本でもゲリラ豪雨や水害が増えたことで、水陸両用車の存在意義が見直されています。

市販化の最大の壁は「コスト」「メンテナンス」「規制」でした。しかし、ジャパンモビリティーショーでもあったような自動車のEV(電気自動車)化が、この状況を変えるかもしれません。
| 課題 | EV化によるメリット |
|---|---|
| 水密性の確保 | 従来のエンジン(熱と排気が必要)に対し、EVはモーターとバッテリーを完全密閉しやすい。 |
| 軽量化と浮力 | モーターを車輪内に組み込む(インホイールモーター)ことで、車内空間を広く確保し、発泡体などの浮力材を充填しやすくなる。 |
| 構造の簡素化 | 駆動系がシンプルになり、陸上/水上切り替え機構を単純化できる。 |
実際に、中国BYDの高級EVや米WaterCarのEVモデルが登場しており、水陸両用車の「夢のマイカー」化は、技術的には手の届くところまで来ています。
あなたにとって、もし規制や価格の壁がなくなったら、水陸両用車は「マイカー」の候補に入りますか?