自動車検査証記録事項とは―車検証との違い、出し方、名義変更と保険で見る欄
2023年1月から交付されている電子車検証(軽自動車は2024年1月から)では、券面に印字する項目が絞られました。車検の満了日、所有者の氏名と住所、使用者の住所は券面に無く、ICタグの中にだけ記録されています。券面に印字された氏名は、使用者のものです。
券面に無い項目を紙で読めるのが、電子車検証と一緒に渡される「自動車検査証記録事項」です。券面の記載が変わらない車検のときに、この紙を運輸支局の窓口で配る扱いは、2025年12月末で終わりました。手元にある紙は、右上に印字された記録年月日の時点の情報のままで、そのあとに受けた車検や住所変更は反映されていません。
車を売るときや名義を変えるとき、書類を頼む相手は券面を見ても分かりません。
券面と記録事項の項目の違い
電子車検証の券面に載るのは、車検や住所変更では変わらない基礎的な項目です。それ以外の項目はICタグにだけ記録されていて、記録事項にはICタグの内容を含むすべての車検証情報が印字されます。
| 項目 | 電子車検証の券面 | 自動車検査証記録事項 |
|---|
| ナンバー・車台番号・車名・型式・初度登録年月・用途・寸法・重量など | 載っている | 載っている |
| 使用者の氏名又は名称 | 載っている | 載っている(所有者と同じなら「***」) |
| 有効期間の満了する日 | 載っていない | 載っている |
| 所有者の氏名又は名称・住所 | 載っていない | 載っている(Bタイプは備考欄) |
| 使用者の住所 | 載っていない | 載っている(所有者と同じなら「***」) |
| 使用の本拠の位置 | 載っていない | 載っている(使用者の住所と同じなら「***」) |
| Aタイプ・Bタイプの別 | 載っていない | 左上に「A」「B」 |
| 備考 | 一部(ASV・OBD検査・騒音規制など) | すべて(走行距離計の表示値、重量税額、整備工場コードなど) |
| 二次元コードの満了日 | 「999999」(実際の日付ではない) | 実際の日付(満了日が未設定・不明なら「999999」) |
「***」は、所有者と使用者が同じ人であること、または使用の本拠の位置(車を使う場所として登録した所在地)が使用者の住所と同じであることを示す印です。
Aタイプの記録事項には「所有者・使用者情報」の欄があり、所有者の氏名と住所はそこに印字されます。Bタイプには使用者の欄しかなく、所有者は備考欄の先頭に「本自動車検査証発行時における所有者情報」として印字されます。紙の車検証のころは番号欄でA・Bを見分けられましたが、電子車検証の券面からは区別できません。
実物の配置は、国土交通省が公開している見本(Aタイプ・Bタイプ)で確かめられます。
記録事項と車検証の扱いの違い
車を走らせるときに備え付ける義務があるのは電子車検証で、記録事項にその義務はありません。ただし国土交通省と軽自動車検査協会は、スマートフォンの操作に慣れていない人には、記録事項を電子車検証と一緒に車に載せておくことを勧めています。券面に無い満了日や所有者を、その場で紙で確かめられるからです。
名義変更などの手続きで出すのも、電子車検証そのものです。軽自動車検査協会は名義変更の必要書類に「自動車検査証の原本」を挙げ、コピーは使えないとしています。
紙の右上にある「記録年月日」が、その情報を記録した日です。車検、名義変更、住所変更などの手続きのたびに、記録される日付は新しくなります。記録年月日より後に何か手続きをしていれば、手元の紙は古い情報のままです。
券面の欄外にある日付は、電子車検証を印刷した日です。券面の記載が変わらない車検(継続検査)では、券面を作り直さずICタグだけを書き換えるので、この日付は変わりません。券面の日付を見ても、記録事項が最新かどうかは分かりません。
満了の時期は、フロントガラスの検査標章でも分かります。車内側から見える面に、「自動車検査証の有効期間の満了する日」が日付で印字されています。
紙が渡される場面
窓口で記録事項を渡す扱いは、手続きの種類によって終わる時期が違います。
| 手続き | 窓口で記録事項を渡す期間 |
|---|
| 運輸支局等の窓口で受ける車検など、券面の記載が変わらない検査の手続き | 2025年12月末で終了 |
| 名義変更・住所変更など、それ以外の手続き(運輸支局等) | 2027年12月末まで |
| 軽自動車検査協会の窓口での電子車検証の交付・更新 | 2024年1月から少なくとも3年間 |
福島運輸支局は、車検のときの配布を2025年12月26日で終えると案内していました。
工場が運輸支局に出向かずにICタグを書き換えられる仕組み(記録等事務代行)があり、その委託を受けた工場に出した車検は、運輸支局の窓口を通りません。委託を受ける工場には、検査標章や記録事項を印刷する機器を備えることが求められています。車検のあとに紙が要るなら、その工場に頼めます。
紙をもう一度手に入れる
なくした場合も、古くなった紙を新しくしたい場合も、手に入れる方法は同じです。
1つ目は、国土交通省の「車検証閲覧アプリ」です。電子車検証のICタグを読み取ると、窓口で渡す記録事項と同じものをPDFで出力でき、軽自動車にも対応しています。PDFを出せるのは、インターネットにつないだ状態(オンラインモード)のときだけです。使える端末と読み取りの手順は、記事「車検証閲覧アプリの使い方」をご覧ください。
2つ目は、運輸支局と自動車検査登録事務所の窓口付近にある印刷端末で、2024年4月から置かれています。鳥取運輸支局と厳原自動車検査登録事務所は設置の対象から外れていて、この2か所では窓口に問い合わせる扱いです。
軽自動車の場合、軽自動車検査協会は窓口での記録事項の再交付をしていません。なくしたときはアプリで出力します。
名前の似た証明書に「登録事項等証明書」(登録車)と「検査記録事項等証明書」(軽自動車)があります。どちらも国のファイルに記録された内容を証明する書類で、運輸支局や軽自動車検査協会の窓口に請求し、手数料がかかります。
| 証明書 | 対象 | 請求に要るもの | 手数料 |
|---|
| 登録事項等証明書 | 登録車 | ナンバーの全部と車台番号の下7桁、本人確認書類、請求の理由 | 現在の内容のみ400円、新規登録からの履歴つき1,200円(ページが増えると加算) |
| 検査記録事項等証明書 | 軽自動車 | 請求できるのは車検証に記録された所有者(代理人は申請依頼書)。ナンバーの全部か車台番号、所有者の氏名・住所、請求の理由を請求書に書く | 現在の内容のみ400円、履歴つき1,200円(2枚目以降1枚400円) |
新規登録からの履歴を確かめたいときなどに使う書類で、記録事項とは別物です。
名義変更・売却で見る欄
名義変更(移転登録)の書類を誰に出してもらうかは、記録事項のA・Bで分かれます。Aタイプなら所有者欄の人、Bタイプならリース会社などに確かめた今の所有者です。登録車で見る欄は次のとおりです。
| 見る欄 | 確かめること | 手続きで要ること |
|---|
| 左上のA・B | Aタイプか、Bタイプか | Aタイプなら所有者欄の人から書類をもらう。Bタイプは備考欄の所有者(発行時点のもの)が変わっていることがあるので、リース会社などに今の所有者を確かめてから書類をそろえる(今の所有者に通知されている登録識別情報も要る) |
| 所有者の氏名又は名称 | 誰が所有者か | 売る人が誰でも、今の所有者(Aタイプはこの欄の人)の譲渡証明書(実印)と印鑑証明書(発行から3か月以内)が要る(新しい所有者の印鑑証明書も要る) |
| 所有者の住所 | 印鑑証明書の住所と同じか | 違えば、住所のつながりが分かる住民票、住民票の除票、戸籍の附票(法人は商業登記簿謄本や登記事項証明書など)。Bタイプは備考欄の住所が発行時点の所有者のものなので、今の所有者の登録上の住所と照らし合わせる |
| 有効期間の満了する日 | 切れていないか | 切れていれば名義変更だけの申請はできない(抹消登録と同時なら可) |
| 使用の本拠の位置 | 新しい使用者で変わるか | 変われば車庫証明(必要な地域のみ)。変わらないとして車庫証明を省くときは、その場所に引き続き拠点があると分かる書面が要る。管轄が変わればナンバーも替わる |
Aタイプで所有者欄が自分でなければ、これらの書類は所有者欄の人に出してもらいます。所有者が販売店やローン会社になっている車もあります。
Aタイプで、引っ越したあとに車検証の住所を変えていなければ、記録事項の所有者の住所は前の住所のままです。今の住民票で記録事項の住所からのつながりが分からなければ、住民票の除票か戸籍の附票が要ります。
軽自動車では、使用者と所有者が違う場合、所有者(販売店やローン会社など)の同意を先に得てから名義変更をします。
下取りの査定でも、販売店は所有者と使用者の名義や住所を確かめています(日本自動車販売協会連合会が2018年に国の検討会へ出した資料)。
任意保険で見る欄
日本損害保険協会が2018年に国の検討会へ出した資料では、自動車保険の契約で申告を求める項目に、車名、型式、初度登録(検査)年月、登録番号、車体番号、所有者・使用者、用途車種、使用の本拠地などを挙げています。項目は保険会社や商品によって異なるという断り書きつきです。車両保険の保険金を払うときには、保険会社が車検証で所有者を確かめるとしています。
このうち、所有者と使用の本拠地は電子車検証の券面にありません。記録事項かアプリで読むことになります。
SOMPOダイレクト損害保険は「おとなの自動車保険」の車両入替の案内で、電子車検証の場合は記録事項のコピーを用意すると手続きが進めやすいとしています。同社の場合、入替後の車の所有者は、入替前の車の所有者、記名被保険者、その配偶者、記名被保険者か配偶者と同居する親族のいずれかでなければなりません。ただし車検証上の所有者がカーディーラー、ローン会社、リース会社で、所有権留保条項付売買契約か1年以上のリース契約の場合は、車検証の使用者欄の人を所有者とみなすとしています。乗り換える車の記録事項で見るのは、所有者欄と使用者欄の両方です。
店で記録事項を受け取るとき
客からメールで届いた記録事項のPDFは、アプリで出したものか、書き換えられていないかを電子署名で確かめられます。国土交通省は、Adobe Acrobat Readerで検証するための電子証明書と手順を、車検証閲覧アプリのページに登録車用と軽自動車用に分けて載せています。確かめられるのは電子データのままのPDFだけで、印刷した紙の真偽は確かめられません。
満了日を二次元コードで顧客管理のシステムに取り込んでいる場合、電子車検証の券面のコードからは「999999」が入ります。継続検査では券面を作り直さないので、券面のコードには実際の日付を入れない決まりです。記録事項とアプリ画面のコードには、満了日が記録されていれば実際の日付が入ります(未設定・不明なら「999999」)。
指定工場の完成検査で、アプリのオンラインモードがメンテナンスなどで使えないときは、記録事項を使って車の同一性を確かめられます。事前に印刷・出力した記録事項(直近の車検で受け取ったものなど)があり、内容が最新だと工場が判断できる場合に限り、電子車検証とその記録事項で確かめて差し支えないというのが国土交通省の扱いです。その場合は、指定整備記録簿などに記録を残すことが望ましいとしています。
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