熊本地震をはじめ、近年発生した大規模な地震において、多くの被災者が選択したのが「車中泊避難」でした。
避難所の混雑回避、プライバシーの確保、ペットとの同行避難、感染症の予防など、自家用車はストレスの多い避難生活において「動くプライベートシェルター」として極めて重要な役割を果たします。
しかし、どんな車でも快適・安全に過ごせるわけではありません。車種選びや車内のアレンジ次第で、避難生活のストレスや疲労感には天と地ほどの差が生まれます。今回は「いざという時に家族を守るシェルター」という防災視点から、車中泊に適した車と、快適空間を作る車内アレンジ術を徹底解説します。
災害時に真価を発揮する車には、単に「広い」だけではない、防災上の理由に基づいた3つの条件があります。
最も重要なのは、大人が足を伸ばして横になれる空間です。
シートを倒した時にどれだけ平らに近くできるか(フルフラット性能)、荷物を置いた上で人が寝るスペースが確保できるかがポイントになります。
地震直後は、道路の隆起・亀裂、倒壊物、瓦礫、さらには破損した水道管からの冠水など、路面状態が最悪になります。
最低地上高(車の床面の高さ)が高いSUVやクロスオーバー車、そしてぬかるみや段差から脱出しやすい「4WD(四輪駆動)」は、避難所や安全な高台へ辿り着くための圧倒的な強みとなります。
前述の通り、AC100V・1500Wのコンセントを備えたハイブリッド車やPHEVは、車内を「電気が通る部屋」に変えてくれます。スマホの充電はもちろん、電気毛布や湯沸かし器、ポータブルクーラーなどが使えるため、避難生活の質が激変します。
「うちの車はシートが倒れるから大丈夫」と思って実際に寝てみると、シートの継ぎ目や盛り上がりが腰や背中に刺さり、1時間も経たずに激痛で目が覚めます。車内で質の高い睡眠をとるためには「凹凸の解消」が絶対条件です。
車中泊避難で最も精神的な負担になるのが、「外からの視線」と「防犯・衛生面」です。
窓ガラスが開いたままだと、外からの視線や夜間の街灯・レスキューの光が気になって眠れません。
現在お乗りの車、あるいは次に検討している車がどれくらい「避難シェルター」に向いているかチェックしてみましょう。
車を「移動手段」から「安全なシェルター」に育てる一番の近道は、休日などに一度車中泊(あるいは車中泊キャンプ)を体験してみることです。
「思ったよりシートの段差が気になる」「灯りが足りない」「窓からの冷気がすごい」といった気づきは、実際に寝てみないと分かりません。
普段のドライブやレジャーを楽しみながら車内環境を整え、いざという時に家族を優しく包み込んでくれる「最強の動くシェルター」を作り上げておきましょう!