大地震が発生した直後、道路の風景は一変します。
崩れた建物の瓦礫(がれき)、割れた窓ガラスの破片、飛び出た釘や金属片、さらにはアスファルトの大きな段差や亀裂――。熊本地震をはじめとする過去の大震災でも、被災地では「タイヤのパンク」や「ホイールの損傷・変形」による走行不能トラブルが相次ぎました。
災害時にロードサービスやガソリンスタンドを頼ることはほぼ不可能です。自分と家族の足である車を守り抜くために、地震後の悪路を乗り切る知識と走行テクニックを解説します。
「パンクしても車載の修理キットがあるから大丈夫」と思っていませんか?実はここに、被災地で多くのドライバーが落ち入る大きな罠があります。
近年販売されている車の多くは、軽量化や車内スペース確保のためスペアタイヤを積んでおらず、代わりに「パンク応急修理キット(補修液+電動コンプレッサー)」が搭載されています。
つまり、地震直後の悪路で起きやすい「タイヤ側面の切り傷」や「大きな破裂」に対して、現在の多くの車は現場で応急処置をする手段を持たないのが現実です。だからこそ、「とにかくパンクさせない走り方」が何よりも重要になります。
地震後の荒れた道路を走らざるを得ない場合は、普段の運転感覚を捨て、以下のテクニックを徹底してください。
地盤沈下や隆起によってできた道路の段差に正面から勢いよく突っ込むと、タイヤの側面がリム(ホイール)と地面に挟まれ、一発でパンク(リム打ち)します。
地震直後は、水道管の破裂や雨によって道路上に水たまりができることがあります。
割れたガラスや崩れた壁の釘・瓦礫は、風や雨、先行車の走行によって道路の端(路肩寄り)に溜まりやすい傾向があります。
もし走っている途中で違和感を覚え、パンクしてしまった場合、どう行動すべきでしょうか。
「ガソリンスタンドまで走ろう」と、空気が抜けたまま走り続けるのは絶対にNGです。地震直後はガソリンスタンドや整備工場も停電や混乱で休業しているか、長蛇の列で対応してもらえません。
空気が抜けた状態で走り続けると、車重によって金属製のホイール(リム)が直接地面に叩きつけられ、激しく変形・破損します。
パンクに気づいたら無理をして走り続けず、ハザードを点灯して安全な道路左端や広場に車を止め、二次被害を防ぐ行動に切り替えてください。
地震直後の道路走行で最も大切なのは、「急ハンドル・急ブレーキ・急アクセル」を絶対にしないことです。
周囲の被害状況に気を取られがちですが、路面の障害物をしっかり観察し、「走れるルートを慎重に選ぶ」ことが愛車と自分自身の身を守る最大の防衛策になります。