津波で車が水没したらどうすればいいのでしょうか。東日本大震災では、多くの自動車が津波に巻き込まれました。現在はEV(電気自動車)やハイブリッド車が普及しており、高電圧バッテリーを搭載した車両の災害リスクにも関心が集まっています。本記事では、政府機関や自動車メーカーの公式情報をもとに、EV・ハイブリッド車が津波や浸水被害に遭った場合の感電リスクと命を守る脱出行動を整理します。
2011年の東日本大震災では、津波によって多くの自動車が流失・水没しました。道路や駐車場にあった車が海水に飲み込まれた事例も数多く報告されています。
現在の自動車社会ではEVやハイブリッド車など電動車両が急速に普及しています。これらの車両には数百ボルトの高電圧バッテリーが搭載されています。そのため災害時には「水に浸かったら感電するのではないか」と不安を感じる人も少なくありません。
国土交通省は、浸水した車両は外見に異常がなくても電気系統の故障や車両火災が発生する可能性があるとして注意喚起しています。
EVやハイブリッド車には、高電圧のリチウムイオンバッテリーが搭載されています。多くの車両では約300〜800Vの電圧が使用されています。
自動車メーカーは厳格な安全基準のもとで車両を設計しており、水分や異常を検知すると高電圧回路を遮断する安全機構(フェイルセーフ)を搭載しています。
しかし津波では海水や濁水が車両内部に侵入する可能性があります。海水は塩分を含むため電気を通しやすく、電気系統のショートやバッテリー損傷につながる可能性があります。
バッテリーが損傷した場合には「熱暴走」と呼ばれる発熱反応が発生し、車両火災につながることもあります。
津波の危険は感電だけではありません。
自動車は水に浮きやすい乗り物です。一般的に水深が30〜50cm程度でも浮力の影響を受け始め、タイヤの接地力が低下します。
車が浮いた状態になると、ハンドルやブレーキで制御することはほぼ不可能になります。津波では水位が短時間で急激に上昇するため、車両が流される危険が高まります。
そのため自治体や防災機関は、津波警報や避難指示が出た場合は車ではなく徒歩で高台に避難することを基本としています。
万が一、車が水に浸かり始めた場合は次の行動を取ります。
重要なのは水位が低いうちに脱出することです。
車外の水位がドアの下半分ほどまで上がると、水圧によってドアが開かなくなる可能性があります。
ドアが開かない場合は窓から脱出します。
電源が生きている場合はパワーウインドウを開けます。電源が停止している場合は脱出用ハンマーを使用します。
ただし重要なポイントがあります。
フロントガラスはハンマーでは割れません。
フロントガラスは「合わせガラス」という構造で作られており、衝撃を与えても貫通しない設計になっています。
窓ガラスを割るタイミングにも注意が必要です。
外の水位が窓より高い状態でガラスを割ると、大量の水が車内へ流れ込みます。強い水流やガラス片によって負傷する危険があります。
浸水した車両を自分で始動するのは危険です。
国土交通省は浸水車両について、エンジンや電源を入れないよう注意を呼びかけています。
津波や水害から命を守るために、次の準備を確認してください。
災害時に命を守るのは車の性能ではなく判断です。
危険を感じたら迷わず車を離れ、高い場所へ避難してください。
国土交通省
浸水した車両の取扱いについて
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr09_000100.html
本田技研工業株式会社
電気自動車(EV)レスキュー時の取り扱い
https://www.honda.co.jp/rescue-auto/honda-e/honda-e202205.pdf