次世代自動車振興センターは8月10日、V2H充放電設備(車のバッテリーから家へ電気を戻す機器)と外部給電器の補助金について、予算残額が約15億円になったと公表しました。配分額は約55億円で、6日前の8月4日は約25億円でした。
個人宅なら、機器と工事を合わせて最大130万円が出ます。昨年度の同じ補助金は最大65万円でしたから、ちょうど2倍です。受け取れるのは、交付申請額の累計が予算額に達する前に、不備のない申請がセンターに届いた人だけです。
昨年度、センターが9月25日に出した案内には、予算に「まだ余裕がある状況です」とありました。締切の5日前です。今年は7月17日の受付開始から3週間あまりで、配分額の7割以上が埋まりました。
ただし、急いで機器を発注すると補助は出ません。順序が決まっています。
| 公表日 | 予算残額 |
|---|---|
| 8月4日 | 約25億円 |
| 8月10日 | 約15億円 |
6日で約10億円が減りました。配分額約55億円の2割近くです。同じ速さなら、残りの約15億円は9日ほどでなくなる計算です。55億円・25億円・15億円は、センターがいずれも「約」を付けて公表している数字です。10億円と2割近くはそこからの引き算になります。この15億円は8月10日時点のもので、そこからさらに1週間が過ぎています。
この残額は、V2H充放電設備と外部給電器を合わせた1つの額です。外部給電器は車から電気を取り出して使うための機器で、補助率は購入費の1/3、上限は50万円。V2Hを申請する人と外部給電器を申請する人が、同じ残額を分け合います。
受付の終わり方を、センターはこう書いています。
本事業は先着順で申請を受け付けており、交付申請額の累計が予算額に達した時点で受付を終了いたします。その場合、次世代自動車振興センターへの交付申請の到着日が、予算額に達した日以降の申請については受理されず、無効となりますのでご注意ください。
申請を受け付けるのは9月30日17時までですが、その日まで続く保証はありません。最新の残額はセンターのお知らせで確認できます。
個人宅とマンション等(共用分電盤)に設置する場合の上限額は、昨年度(令和6年度補正・令和7年度当初予算)と比べてこう変わりました。
| 費目(個人宅・マンション等) | 今年度(令和7年度補正) | 昨年度 |
|---|---|---|
| 機器の購入費 | 購入費(税抜)の1/2以内(上限75万円) | 購入費(税抜)の1/2以内(上限50万円) |
| 設置工事費(税抜) | 全額(上限55万円) | 全額(上限15万円) |
| 合計の上限 | 130万円 | 65万円 |
大きく上がったのは工事費です。15万円から55万円へ、3倍を超えました。機器は購入費の半分で頭打ちになりますが、工事費に割合は掛かりません。上限の範囲なら、審査で認められた額がそのまま出ます。
事業所など「その他施設」の区分は、昨年度は機器の補助率が1/3で上限50万円でした。今年度は1/2・上限75万円に変わり、個人宅とすっかり同じ条件になりました。工事費の上限55万円も、合計の上限130万円もそろっています。
設置場所が「公共施設・災害拠点」の区分に入ると、工事費の上限は95万円になり、複数基の設置も申請できます。ただし災害拠点として申請するには、地方公共団体などと災害時の人的・物的支援に関する協定(災害協定・防災協定など)を結んでいることが要ります。協定のない事業所が自社の敷地に設置する場合は「その他施設」の区分になります。
国のほかの補助金とは重複して申請できません。地方公共団体の補助制度は重複して申請できる場合があるので、使えるかどうかはその自治体に問い合わせます。
工事費の55万円は、項目ごとの上限を積み上げた額です。機器も工事も、補助の対象になるのは税抜の額で、消費税は入りません。個人宅・マンション等・その他施設の区分では、こうなっています。
| 工事項目(個人宅・マンション等・その他施設) | 項目ごとの上限 |
|---|---|
| 基礎工事 | 35,000円 |
| 据付工事 | 80,000円 |
| 本体搬入費 | 15,000円 |
| 電気関連工事 | 300,000円 |
| 諸費用 | 120,000円 |
| 1基設置の合計上限 | 550,000円 |
半分以上を電気関連工事が占めます。ケーブルとアース線、配管、ブレーカー、切替開閉器、それらを収める盤、配線ルートの掘削や貫通工事まで、この30万円の枠に入ります。
超えた分は、ほかの項目へ回せません。補助額は、3つを比べていちばん低い額になります。項目ごとの上限で切ったあとの合計、工事費の合計、そして55万円です(千円未満は切り捨て)。電気関連工事に45万円かかっていても、この項目で見てもらえるのは30万円まで。はみ出た15万円は、上限に届いていない基礎工事の枠には移りません。
補助が出ない工事も決まっています。この3つの区分では、屋根や小屋、機器を囲うU字型・I型の防護用部材、電灯は対象外です。これらが補助の対象になるのは公共施設・災害拠点の区分だけで、そちらでは屋根と小屋がそれぞれ45万円、防護用部材が8万円、電灯が5万円まで見てもらえます(屋根と小屋はどちらか一方しか選べません)。
太陽光発電システムは、パネルなどの機器と設置工事が対象外です。ただし太陽光発電や蓄電池と組み合わせて使う場合、充放電に関わる回路の部材と労務費は、V2H専用の回路でなくても対象として申告できます。
このほか、既にあるV2Hの撤去・移設・処分にかかる費用、既にある駐車スペースの舗装(未舗装の場合も同じ)、給電先のコンセント、一般管理費・現場管理費・共通仮設費、それに申請手続の代行費も対象外です。
機器の補助額は、購入費(税抜)に補助率1/2以内を掛けた額と、上限額の低いほうです。この上限額は型式ごとに違います。
7月17日に更新された一覧には、15社96型式が載っています。上限が75万円なのは75型式で、残る21型式はそれを下回ります。いちばん低いものは44.9万円です。購入費が150万円でも、上限が50万円の型式なら、出るのは50万円です。
一覧はPDFで公開されています(型式ごとの補助金交付上限額)。メーカーがセンターに申請し、センターが審査して承認した型式だけが載ります。一覧は随時更新されます。検討している機器がここに無ければ、補助の対象になりません。

補助の対象になるのは「新品」の機器です。センターのいう新品とは、交付決定通知書の発行日以降に発注し、メーカーが出す保証書の保証開始日も交付決定日以降になる機器です。申請を出しただけでは、まだ発注できません。交付決定より前に発注した機器は対象になりません。
設置工事の施工開始と、機器・工事の代金の支払も、交付決定日以降です。施工開始には、機器の搬入や基礎工事などの準備も含まれます。既にあるV2Hを入れ替える場合は、その撤去工事も交付決定日以降です。ただし前払い金など一部の支払は、交付決定日の前でも認められます。
交付決定までは、不備のない申請を受け付けてからおおむね1〜2か月。申請が集中するとさらにかかることがあります。
実績報告の期限は2027年1月29日です。この日までに工事を終え、機器と工事の代金の支払を済ませ、報告を出す必要があります。このうち支払にだけ例外があります。個人が個人宅に設置する場合にかぎり、割賦販売・ローン・クレジット契約なら、契約を結んだ時点で支払を済ませたものとして扱われます。工事を終えることと報告を出すことは、この例外があっても期限どおりです。報告のあと、補助金が振り込まれるまでは1.5〜2か月程度です。
設置が終わってから5年間は、この機器を持ち続ける義務があります。途中で処分するときは、事前にセンターの承認が要ります。
交付の条件はほかにもあります。設置に関する情報について、国や地方公共団体から要請があったときに、センターがそれを提供するのを了承すること。災害時などに国や地方公共団体から利用の要請があったら、可能な範囲で協力するよう努めること。センターから求められたら利用状況のデータを出し、それが国へ提供されるのを了承すること。
申請者は、機器を買って代金を払う本人です。個人、法人、法人格を持たないマンション管理組合、地方公共団体が申請できます(国の省庁は申請できません)。リースで導入する場合は、リース会社が申請者になります。
手続きは、業者に丸ごとは任せられません。代行の範囲を、センターはこう限っています。
申請者は、交付申請および実績報告にかかる業務等の手続きの一部を第三者へ依頼することができます。補助金申請の全てを依頼する申請代行ではありません。
代行を頼む相手(手続代行者)は原則として工事施工会社に限られます。工事施工会社が複数あるときは、申請者がそのうち1社を代表に選んで依頼します。手続代行者は、交付申請のデータを出したあとでは追加できません。変更も原則として認められません。代行費用は補助対象経費になりません。
オンライン申請システムのアカウントは申請者本人が取ります。申請者情報に書く連絡先も本人のもので、業者のメールアドレスを入れると不備になります。
手続代行者が不備を解消できず補助金の交付に至らなかった場合は、申請者と手続代行者の間で調整することになります。その申請についてセンターに申し立てる道は、申請者にはありません。
早く出しても、不備があれば受付は止まります。
一部の必要書類に不備がある場合や確認すべき事由または修正の必要がある場合等は、一定期間に書類の不備を修正するようセンターから連絡します。書類の不備が完了するまで申請は受付されません。
センターが公開している「よくある不備(交付申請時)」には、こんなものが挙がっています。車検証と注文書は個人宅の申請だけに掛かり、あとは個人宅・マンション等・その他施設に共通です。公共施設・災害拠点はこれとは別に、図面・電気系統図・災害協定の書類についての不備が挙がっています。
分譲マンションでは、これに加えて住民総会の決議か理事会の合意が分かる書類が要ります。
基数の制限は、個人宅・マンション等(共用分電盤)・その他施設のすべてに掛かります。この3つの区分に設置できるV2Hは1基までで、既にV2Hがある場所への追加設置は申請できません(複数基を申請できるのは公共施設・災害拠点の区分だけです)。既にあるV2Hを新しいものに入れ替える申請はできます。撤去工事を交付決定より前に始められない点は、新しい機器の設置工事と同じです。
停電したときに車から家へ電気を送る仕組みと、車種による給電能力の差は停電のピンチを救う!大地震で「走る蓄電池」として大活躍する車(PHEV・EV・HV)の底力を、在宅の医療機器につなぐときに確かめることは停電中に人工呼吸器を電動車につなぐ―国土交通省と経済産業省が改定した給電マニュアルの確認項目をご覧ください。
予算残額はこれからも公表されます。整備士オンラインは追っていきます。