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エンジンがかからず、ルームランプも暗いなら、バッテリー上がりが疑われます。救援してくれる車とブースターケーブルがあれば、その場でかけ直せます。JAFを呼ぶと、会員でない場合の料金は昼間の一般道で21,700円です。
ケーブルをつなぐ箇所は4つです。迷いやすいのは最後の1本で、上がった車のどこにつなぐかは、取扱説明書の指定が車ごとに違います。つなぐ場所によっては火花が出て、バッテリーから出る水素ガスに引火するおそれがあります。救援を頼める相手がハイブリッド車やEVなら、その車が救援する側に回れるかどうかも、取扱説明書で確かめておく点です。
次の見出しの番号は、電話で手順を伝えるときにそのまま読み上げられる順番です。
ルームランプが暗い、ホーンが鳴らない、エンジンをかけようとするとセルモーターが「カタカタ」と鳴る。どれもバッテリー上がりや電圧の低下で起きることがある症状です。セルモーターが勢いよく回るのにエンジンがかからないときは、ほかの原因が考えられます。電池工業会はこれをバッテリーではなく車側の問題とし、JAFは点火プラグが燃料でぬれて火花が飛ばない「プラグかぶり」の可能性が高いとしています。

つなぐ前に、次の4つを済ませます。
赤と黒は、次の順番でつなぎます。
4本目の黒は、上がった車のバッテリーの-端子につなぎません。最後の1本をそこにつなぐと火花が飛びやすく、バッテリーから出た水素ガスに引火して爆発するおそれがあります。電気は電圧の高い方から低い方へ流れ、救援車の正常なバッテリーのほうが電圧が高いためです。ただし、-端子の近くにある決まった部品を指定している車もあり(次の節の表のホンダ インサイト 2026)、取扱説明書に指定があればその場所につなぎます。
つないでいるあいだは、赤のクリップを車体の金属部分に触れさせないこと、赤と黒のクリップどうしを触れさせないこと、ケーブルを張った状態にしないこと、ケーブルや服を冷却ファンやベルトに近づけないことを守ります。ケーブルを張った状態にしないのは、外れたときに火花が出るおそれがあるからです。バッテリーの近くでは、たばこやライターの火も使いません。パナソニックとトヨタは、作業のときに保護メガネをかけるよう書いていて、トヨタは顔をバッテリーに必要以上に近づけないよう注意しています。
つないだら、エンジンをかけます。
トヨタの取扱説明書は、救援車の回転を少し高めにしたまま約5分、上がった車のバッテリーを充電してから始動する手順です。ヴォクシーなどは、始動の前にスイッチを切ったままドアを1か所開け閉めします。かからないときもセルモーターを回し続けません。JAFは、セルモーターやバッテリーの負担を減らすため、始動操作をおおむね10秒以内にとどめるよう案内しています(車種により異なる)。
エンジンがかかったら、つないだときと逆の順番で外します。
途中でケーブルから煙が出たときは、両方の車のエンジンを止め、バッテリー端子のクリップではなく、金属部分につないだ黒のクリップを外すよう、パナソニックは案内しています。
ブースターケーブルをつなぐ場所は車ごとに取扱説明書で決められていて、ホンダの取扱説明書は「ケーブルをエンジンのスタッドボルト以外に接続しないでください」(N-BOX)のように、指定した場所以外につながないよう書いています。トヨタは、指定以外の場所につなぐと電子機器に悪影響が出たり壊れたりするおそれがある、としています。
| 車種(取扱説明書・FAQの版) | 1の赤をつなぐ場所 | 4の黒をつなぐ場所 |
|---|---|---|
| トヨタ ヴォクシー(2025年9月〜、ガソリン車) | バッテリーの+端子 | 図で示した金属部 |
| トヨタ ヴォクシー(2025年9月〜、ハイブリッド車) | 補機バッテリーの+端子 | 図で示した金属部 |
| トヨタ プリウス PHEV(2025年7月〜) | ヒューズボックス内の救援用端子 | 図で示した金属部 |
| ホンダ N-BOX(ウェブ版「N-BOX 2027」) | 12Vバッテリーの+端子 | エンジンのスタッドボルト。ターボ車と非ターボ車で図が分かれる |
| ホンダ インサイト(ウェブ版「INSIGHT 2022」、ハイブリッド車) | ジャンプスタートボックスの+端子 | パワーシステムのスタッドボルト |
| ホンダ インサイト(ウェブ版「INSIGHT 2026」、EV) | 12Vバッテリーの+端子 | 12Vバッテリーセンサーの-端子側にあるナット |
| 日産 セレナ(C28、ガソリン車・S-HYBRID) | バッテリーの+端子(エアダクトを外してから) | 車体の未塗装金属部。赤のケーブルから離れた位置 |
| 日産 リーフ(ZE1) | 12Vバッテリーの+端子 | 12Vバッテリーから離れたステーなど |
同じ車名でも、ハイブリッド車とガソリン車、年式の違いで手順が変わることがあります。自分の車の手順は、次のところで読めます。
JAFや電池メーカーの一般的な案内は、上がった車のバッテリーから離れた、エンジン本体の金属部分(フックなど)を挙げています。パナソニックはこれを一般的な車両の一例とし、接続位置が具体的に指示されている車両もあるので、上がった車の取扱説明書を見るよう書いています。エンジンのないEVには、この目安は当てはまりません。
救援車のバッテリーは、上がった車と同じ電圧のものに限ります。12Vの車を救援できるのは12Vの車で、トラックは24Vと電圧が違うので救援車に使えません。容量も同じくらいが条件で、救援車のバッテリーが小さいと、つないでもかからない場合があります。バッテリーを2個積んでいる車は、その車の取扱説明書の手順に従います。
ハイブリッド車は、救援してもらう側にはなれますが、救援する側について、JAFは「ハイブリッド車は車の構造上、他の車のバッテリー上がりを救援することはできません」としています。メーカーの取扱説明書の記載は、車種ごとに次のとおりです。
トヨタのヴォクシーのハイブリッド車やホンダのCR-V e:HEVのように、バッテリーが上がったときのページに救援してもらう手順だけを書き、救援する側には触れていない取扱説明書もあります。
救援を頼む相手は、12Vのバッテリーを積んだ、ハイブリッド車でもEVでもない車にします。JAFとここに挙げたメーカーの記載のどれとも食い違わない選び方です。知人のハイブリッド車しか近くにないときは、救援を頼まずに、ロードサービスを呼ぶかジャンプスターターを使います。
ハイブリッド車やEVのバッテリー上がりは、システムを起動するための12Vの補機バッテリーが上がった状態です。補機バッテリーが上がるとシステムが起動せず、READY(走行可能)の表示がつきません。ハイブリッド車で補機バッテリーが上がって起動できないときは、走行用の大きなバッテリーに電気が残っていても、そこから補機バッテリーを充電して起動することはできません。
EVの走行用バッテリーが空になる「電池切れ」は別のトラブルで、JAFも別に数えています。2025年度のEVの出動理由は、2位が過放電バッテリーの2,364件、3位が駆動用電池切れの1,165件でした。
救援してもらうときの手順は、ガソリン車とほぼ同じです。違うのは赤をつなぐ場所で、補機バッテリーがどこにあるかで決まります。
補機バッテリーを後席の下や荷室に積む車が多く、トヨタは車種別の搭載位置をFAQにまとめています。アクアとヤリスハイブリッドは後席の下(運転席側)、2023年1月以降のプリウス(2.0L車)とRAV4ハイブリッドは荷室の運転席側です。表にない車種はボンネットの中を確かめるよう、同じFAQは書いています。
GSユアサによると、補機バッテリーが車内にあるハイブリッド車の多くは、エンジンルームのヒューズボックスの中に救援用端子があり、赤はそこへつなぎます。補機バッテリーがエンジンルームにある車は、バッテリーに手が届くので救援用端子がありません。トヨタは救援用端子の有無を、取扱説明書の「補機バッテリーがあがったときは」で確かめるよう案内しています。ホンダのインサイト(2022)では、同じ役割の端子を「ジャンプスタートボックス」と呼んでいます。
始動したら、READYの表示がつくかを確かめます。トヨタは、つかなければ販売店に連絡するよう書いています。日産のリーフは、ジャンプスタートの前に充電ケーブルを外すよう書いていて、外さないと車や充電機器を傷めるおそれがあるとしています。ここに挙げたトヨタと日産の車は、ガソリン車も含めて、押しがけでは始動できません。
ジャンプスターターは、救援車の代わりに、本体に内蔵した電池からエンジン始動の電気を送る機器です。救援車がいなくても1人で始動を試せます。手順や使える車の範囲は製品ごとに決まっていて、取扱説明書に書いてあります。
例として、セルスター工業のLJP-9600は、12Vの二輪車・四輪車専用で、ガソリン車は3,000cc、ディーゼル車は2,000ccまでが対象です。取扱説明書の手順は次の8段階で、始める前に車のシフトをPかNにし、パーキングブレーキをかけておきます。
かからなかったときのやり直しは、3分以上あけ、スマートクランプの表示が緑で点灯していることを確かめてからです。使ったあとは本体を充電してからしまいますが、始動の直後は本体の電池の電圧が大きく下がっているので、しばらくしてから充電します。
この製品の黒のつなぎ先は、ブースターケーブルの4本目と違い、バッテリーの-端子です。セルスターの説明書は「本書と車両に付属の取扱説明書を確認してからおこなってください」としています。車の取扱説明書がケーブルのつなぎ先を指定し、それ以外につながないよう書いている車種(前の節の表)もあります。表に挙げたメーカーの指定はブースターケーブルについてのもので、ジャンプスターターにも当てはまるかは、表に挙げた取扱説明書のページにもセルスターの説明書にも書かれていません。2つの指定が食い違い、両方の指定を満たすつなぎ方を確かめられないときは、その車ではジャンプスターターを使わず、ロードサービスを呼びます。
使える車の範囲や使い方の制限は製品ごとです。日立Astemoはポータブルパワーソースの3機種(PPS-18000、PS-18000、PS-16000RP)について、4,000cc以下の12Vガソリン車や3,000cc以下の12Vディーゼル車でも、寒冷地仕様でバッテリーを2個積んだ車には使わないよう、またジャンプスターター2台で同時に始動しないよう注意しています。本体が膨らんでいたら使いません。
置き場所にも注意が要ります。リチウムイオン電池を使うジャンプスターターは高温で発熱、破裂、発火するおそれがあり、セルスターの説明書は「特に自動車の車内での保管、放置をしないでください」と書いています。製品評価技術基盤機構(NITE)に通知された製品事故情報では、2021〜2025年にリチウムイオン電池を使う製品で起きた事故2,140件のうち、124件が自動車の中で起きたものです。この件数には、調査中の事故や、原因は特定されていないもののリチウムイオン電池が原因の可能性があると推定される事故も含まれます。NITEは、暑い日の車内に置いたままにしないよう呼びかけています。同じ集計で、事故の半分を超える1,212件は充電中か充電直後でした。
エンジンはすぐに止めません。バッテリーが寿命だったり傷んでいたりすると、止めると次にかからないことがあります。
充電は、アイドリングだけではあまり進みません。電池工業会は、エンジンをかけているだけでは充電量が少なく、近年はそれだけでは発電しない車もあるので、走ることが最も重要だとしています。パナソニックの案内は、ジャンプスタートのあとは専用の充電器で充電するか、2時間以上走って充電する、というものです。日産のFAQ(セレナの例)は、エンジンがかかってもしばらくエアコンやオーディオを使わないよう書いています。ハイブリッド車の補機バッテリーは、システムが作動しているあいだに充電される仕組みです。ホンダのインサイト(2022)は、12Vバッテリーの電圧が回復するまで「アイドリング(走行待機)状態」にしておくよう書いています。
そのまま販売店や整備工場、バッテリー販売店で点検を受けます。発電機が不調だと、走っている途中でエンジンが止まることもあるからです。GSユアサは、2年以上使ったバッテリーが上がったら交換を考えるよう勧めています。ハイブリッド車の補機バッテリーについては、3年以上使ったものが上がったら交換を考えるよう、同じGSユアサが書いています。
トヨタの取扱説明書は、バッテリーが上がると車のコンピューターが覚えていた情報が消え、初期設定が必要な機能があるとしています。ホンダのインサイト(2022)の取扱説明書は、ジャンプスタートのあとにブレーキやABS、VSAの警告灯がついたまま消えないときは、パワーシステムをいったん切って起動し直し、それでも消えなければ販売店で点検を受けるよう書いています。
次の場面では、ケーブルをつながずにロードサービスを呼びます。
| 場面 | 理由 |
|---|---|
| 高速道路の本線や路肩で止まった | ハザードランプ、発炎筒、停止表示器材で後続車に知らせ、全員がガードレールの外へ避難してから、110番・非常電話・道路緊急ダイヤル(#9910)で通報する |
| バッテリー液が凍っている | 溶けるまでジャンプスタートはできず、凍ったまま行うとバッテリーが壊れることがある(ホンダ) |
| バッテリー液が足りない、バッテリーから異臭がする | 電池工業会は、どちらの場合もそのバッテリーを使わないよう書いている |
| セルモーターが勢いよく回るのにかからない | バッテリー以外の原因(プラグかぶりなど)が考えられる |
| 何度か試してもかからない | バッテリーの寿命や、セルモーターなど車側の故障が考えられる |
| ハイブリッド車でREADYがつかない | トヨタは販売店への連絡を案内している |
| 救援車やケーブルがない、作業に自信がない | JAFは、この場合はJAFに任せるよう勧めている |
JAFに頼むと、会員でない場合のバッテリー上がりの応急始動は、昼間の一般道で21,700円です(2024年4月1日に改定した料金、税込み)。基本料は8時〜20時の15,700円に対し、20時〜8時は19,630円に上がります。高速道路の本線上では基本料だけで31,410円(8時〜20時)かかり、ロードサービス車の高速道路料金も実費で加わります。JAFの会員なら無料で、個人会員は入会費2,000円、年会費4,000円です。
電話をかける前に、自動車保険のロードサービスを確かめます。多くの自動車保険に付いていますが、年に使える回数に制限があるのがふつうだとJAFは書いています。
JAFが「過放電バッテリー」として数える、電気を使い切って上がった出動は、冬に増えます。2025年度の一般道路・四輪では、最も少なかった2025年6月が48,771件、最も多かった2026年1月が88,320件で、1.81倍です。年末年始(2025年12月27日〜2026年1月5日)の一般道路(四輪・二輪合計)では、過放電バッテリーと破損/劣化バッテリーを合わせて44,827件と、出動全体の83,720件の半分を超えました。
GSユアサは、冬に上がりやすい理由を4つ挙げています。
冬にはもう1つ、上がったバッテリーが凍りやすいという問題があります。電池工業会によると、満充電に近いバッテリー液は凍りにくい一方、放電して比重が1.100くらいまで下がると、凍る温度は-10℃前後です。過放電のまま放置すると、凍ったときの膨張で電槽が壊れる場合があります。凍ったバッテリーではジャンプスタートができないので、冬に上がったら置いたままにせず、早めに救援を頼みます。
冬の前にできることは、1〜2週間に1回、1時間以上走ることです。アイドリングでは発電量がわずかなので、渋滞や信号待ちの少ない道を走るよう、GSユアサは勧めています。同社はバッテリーの寿命を2〜3年とし、トラブルが起きる前にバッテリー取扱店で点検を受けるよう勧めています。
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