OBD検査の対象車両―対象になる条件、輸入車の扱い、車検証・型式一覧・特定DTC照会アプリでの調べ方
車検証の備考欄に「OBD検査対象」とある車にも、OBD検査を受けなくてよい車検があります。自動車技術総合機構(以下、機構)が2026年9月に更新した対象型式の一覧には1,627の型式が載っていて、そのうち733型式は、2026年10月10日の時点でOBD検査が始まる日がまだ来ていません。
電子車検証の券面に出るのは「OBD検査対象」の文字だけで、いつからOBD検査が要るかは券面では分かりません。指定工場では、受け入れた日にはOBD検査が要らなかった車が、完成検査が月をまたいだために、最終検査の日には要る車に変わることもあります。そのまま保安基準適合証を出すと、検査の一部をしないで適合証を出したことになります。
自分の車や入庫した車の次の車検でOBD検査が要るかどうかは、車検証と機構の一覧で確かめられます。
対象になる車の条件
OBD検査の対象かどうかは、その車の型式が国の指定を受けた時期で決まります。車を買った日や登録した日ではありません。2021年10月(輸入車は2022年10月)より前に指定を受けた型式なら、2024年に新車で登録した車でも対象外です。
| 確かめること | 対象になる | 対象にならない |
|---|
| 型式指定の時期 | 国産車は2021年10月1日以降、輸入車は2022年10月1日以降に指定を受けた新型車 | それより前に指定を受けた型式 |
| 対象装置の性能 | 自動ブレーキなど対象装置の性能が、2021年9月30日(輸入車は2022年9月30日)以前に指定を受けた型式と同じではない | 上の時期以降の指定でも、対象装置の性能がそれ以前の型式と同じ |
| 車の種類 | 普通自動車、小型自動車、軽自動車(乗用車、トラック、バス) | 二輪自動車、大型特殊自動車、被牽引自動車 |
| 輸入のしかた | 型式指定を受けた輸入車 | 並行輸入車、輸入自動車特別取扱制度(PHP)で入った車 |
| 車検証の備考欄 | 「OBD検査対象」の記載がある(電子車検証でない車検証などでは「OBD検査対象車」) | 記載が無い |
車検証の備考欄に「OBD検査対象」の記載がある車は、法令でOBD検査の対象とされている車です。二輪車、大型特殊自動車、並行輸入車、PHPの車の車検証に記録されることはありません。備考欄に記載が無ければ、対象外です。
エンジンの無い電気自動車も対象になります。機構の一覧には、トヨタのbZ4Xや日産のサクラも載っています。
法定点検の「OBD点検」(車載式故障診断装置の診断の結果)は、OBD検査とは別のものです。2021年10月1日に点検項目に加わり、二輪自動車、大型特殊自動車、被牽引自動車を除く、OBDを積んだすべての車が対象です。点検整備記録簿にこの項目があることと、OBD検査の対象かどうかは関係がありません。
対象の車でもOBD検査が要らない車検
対象の車でも、車検を受ける日が次の2つの日付のどちらかより前なら、OBD検査は要りません。
| 日付 | どこで分かるか | 決まり方 |
|---|
| OBD検査開始日 | 電子車検証のICタグ(電子車検証より前の様式の車検証は備考欄)、機構の型式一覧 | 型式指定の日の2年後。それが2024年10月1日(輸入車は2025年10月1日)より前なら、2024年10月1日(輸入車は2025年10月1日) |
| 初度登録から10か月 | 車検証の「初度登録年月」(軽自動車は「初度検査年月」) | 初度登録年月の10か月後の月の1日から要る。初度登録が2023年12月なら、2024年10月1日から |
検査の種類でいうと、新車の新規検査と予備検査では、受ける日にかかわらずOBD検査は要りません。ここでいう新車は、車検証の交付を一度も受けたことがない車です。一度登録して車検証の交付を受けた未使用車は、ここでいう新車に当たりません。継続検査のほか、中古車の新規検査・予備検査と構造等変更検査は、上の2つの日付で決まります。
自家用の乗用車は、一部を除いて、最初の車検証の有効期間が3年です。満了に合わせて車検を受けるなら、その日には型式指定から2年も、初度登録から10か月も過ぎています。備考欄に「OBD検査対象」とあれば、最初の車検からOBD検査が要ります。
継続検査でこの2つの日付にかかることは、まれです。かかるのは主に、車検証の有効期間が1年か2年の車が、型式指定や登録から間もないうちに車検を受ける場合です。一覧で開始日がまだ来ていない733型式のうち、471型式を普通貨物車が占めます。
指定工場では、この2つの日付を最終検査の日で判断します。受け入れた日に特定DTC照会アプリが「OBD検査不要」と出しても、完成検査が月をまたぎ、最終検査の日に開始日や10か月を過ぎていれば、OBD検査が要ります。
自分の車が対象か調べる
| 調べ方 | 使える人 | 分かること |
|---|
| 車検証の券面の備考欄 | 誰でも | 対象車かどうか |
| 国土交通省の車検証閲覧アプリ(電子車検証のICタグを読む) | 誰でも | OBD検査開始年月日 |
| 機構の「OBD検査対象車型式一覧」(PDF、Excel) | 誰でも | 型式ごとのOBD検査開始日、DoIPに対応した検査用スキャンツールが要るか |
| 特定DTC照会アプリの「検査要否確認」 | 機構のOBD検査システムに登録した指定工場・認証工場など | その日にOBD検査が要るか |
| OBD検査結果参照システムの「検査対象型式検索」 | 同上 | 型式と初度登録年月から、OBD検査が要るようになる日 |
特定DTC照会アプリとOBD検査結果参照システムは、使える人が機構、軽自動車検査協会、指定工場、認証工場などに限られていて、車の持ち主が自分で使うことはできません。
持ち主が確かめる手順
- 車検証の券面の備考欄を見ます。「OBD検査対象」が無ければ対象外で、ここで終わりです。
- 記載があれば、型式欄の型式(「6AA-ZWR90W」のような英数字)を、機構のOBD検査ポータルにある「OBD検査対象車型式一覧」で探し、OBD検査開始日を見ます。電子車検証なら、車検証閲覧アプリでICタグを読むと、備考に「OBD検査開始年月日」が出ます。電子車検証より前の様式の車検証は、備考欄に開始年月日も書いてあります。
- 車検証の初度登録年月(軽自動車は初度検査年月)に10か月を足した月の1日を出します。
- 次に車検を受ける日が、2と3の両方の日付以降なら、OBD検査が要ります。
一覧は2026年8月31日時点のもので、機構は「ご参考」として出し、定期的に更新するとしています。
OBDの差し込み口(データリンクコネクタ)にドライブレコーダーなどをつないでいる車は、車検の前に外します。ユーザー車検で検査コースに持ち込むと、コースの入口で検査担当者が検査用スキャンツールをつなぎ、エンジンの始動と停止は受検者が行います。
整備工場が確かめる手順
国土交通省は指定工場に、完成検査で次の順に確かめるよう求めています。
- 車検証の備考欄に「OBD検査対象」の記載があるか
- 備考欄の「OBD検査開始年月日」(電子車検証ではICタグ)に至っているか
- 至っていれば、特定DTC照会アプリで車両を受け付け、「検査要否確認」で詳しく確かめる
検査要否確認の結果は「OBD検査要」「OBD検査不要」「OBD検査不可」のどれかで出ます。不要のときは、結果欄の下にOBD検査開始日が出ます。不可は、OBD検査に要る車両情報がシステムに無いときの表示です。対象車で、初度登録から10か月を過ぎ、開始年月日も過ぎているのに不可と出たら、OBD検査コールセンター(0570-022-574、9時〜17時、12月29日〜1月3日を除く)に問い合わせます。
要否確認の途中で、車名や車両IDを入れる画面が出ることがあります。車両IDの場所は、電子車検証の左下の欄外です。
OBD検査結果参照システムの「検査対象型式検索」は、型式と初度登録年月(または初度検査年月)を入れると、その型式が対象かどうかと、OBD検査が要るようになる日を出します。出る日は、検査開始年月日(2024年10月1日、輸入車は2025年10月1日)、諸元表の指定年月日から2年後、初度登録年月から10か月後のうち、最も遅い日です。データリンクコネクタの位置もこの画面で見られますが、「準備中」と出る型式では見られません。「準備中」は、OBD検査に要る情報がメンテナンス中のときの表示です。
認証工場がOBD確認で適合を確かめてから5日以内に検査コースへ持ち込めば、コースでのOBD検査は原則省略されます。
対象の車で読み取るもの
2021年10月以降の新型車で、OBD検査で読み取る装置は次の8つです。
| 装置 | 不適合になる状態 |
|---|
| かじ取装置の運行補助機能、アンチロックブレーキ(ABS)、横滑り防止装置、ブレーキアシスト、自動ブレーキ、車両接近通報装置、自動運行装置 | その装置の特定DTCが1つ以上記録されている |
| 排出ガス等発散防止装置 | 下の5つのどれかに当たる |
排出ガス等発散防止装置は、次のどれかに当たると不適合になります。
- OBDが正しく働くだけの電圧が無い
- 排出ガスの警告灯を点ける信号が出ている(技術基準で決められた条件で点く警告灯に限る)
- 技術基準で決められた監視の項目に、レディネスコードが1つも記録されていない(どの監視の項目が入るかは、その車に適用される排出ガスのOBDの基準で違う)
- 特定DTCが1つ以上記録されている
- 1〜4の判定に要る情報が読み出せない(その車に適用される排出ガスのOBDの基準によっては、この要件がかからない車がある)
特定DTCは、メーカーが決めている故障コードのうち、そのコード1つで装置が保安基準に合わなくなっていると判別できるものです。横滑り防止装置やブレーキアシストなどの安全系の装置(自動運行装置を除く)では、停車中に行われる診断で記録されるコードに限られます。どのコードが特定DTCかは機構のOBD検査用サーバーに記録されていて、特定DTC照会アプリはサーバーにつないで判定します。
エアバッグやシートベルトの装置は、2026年3月時点の対象装置の一覧に入っていません。
整備用のスキャンツールが対象装置のDTCをすべて読めるものなら、整備用で出なかったコードがOBD検査で出ることはありません。
検査は、エンジンをかけた状態(ハイブリッド車と電気自動車はREADYの状態)で行います。エンジンを止めたまま行うと、決められた方法で検査したことになりません。運転席のドアを開けると自動でエンジンが止まる車もあるので、検査の前に、エンジンがかかっているか(READYになっているか)を確かめます。
2024年10月から2026年6月までにOBD検査を受けた約127万台のうち、2.7%で不適合が出ました。2026年4〜6月に指定工場で出た不適合の理由で多いのは、安全系の特定DTC(検査台数の0.9%)、レディネスコードなし(0.7%)、通信不成立(0.7%)です。機構は、安全系の不適合について、整備の途中で記録された特定DTCが消されないまま残っていた可能性を挙げています。
機構の一覧でISO13400の欄に丸印がある型式は、通信方式ISO13400(DoIP)に対応した検査用スキャンツールでないとOBD検査ができません。1,627型式のうち141型式で、三菱ふそうのトラック68型式と、メルセデス・ベンツ67型式がほとんどです。一覧の丸印には「○」と「〇」の2通りの字が使われています(「○」が123型式、「〇」が18型式)。認定を受けた検査用スキャンツールの一覧は、日本自動車機械工具協会のサイトにあります。
輸入車の扱いと、これから増える対象装置
輸入車は、2022年10月1日以降に型式指定を受けた新型車が対象で、OBD検査は2025年10月1日以降の車検から始まりました。国産車よりそれぞれ1年遅れです。日本のメーカーの車でも、一覧ではホンダのオデッセイ(6AA-RC5)やスズキのジムニー(3BA-JC74W)のOBD検査開始日が、輸入車と同じ2025年10月1日になっています。
対象装置は、これから増えます。国産車では、2026年9月以降に型式指定を受ける新型車で、車線逸脱警報装置と側方衝突警報装置も対象装置に入りました。この2つの装置の検査は、国産車では2029年9月に始まります。
| 追加される装置 | 対象になる車(国産車) | 検査が始まる時期(国産車) |
|---|
| 車線逸脱警報装置 | 2026年9月以降の新型車 | 2029年9月 |
| 側方衝突警報装置 | 2026年9月以降の新型車 | 2029年9月 |
| ペダル踏み間違い時加速抑制装置 | 2028年9月以降の新型車 | 2031年9月 |
| 緊急時車線維持装置(ELKS) | 2032年9月以降の新型車 | 2035年9月 |
輸入車は、対象になる車も検査が始まる時期も、それぞれ1年後です。追加の装置を読むのは、表の時期以降に型式指定を受けた新型車だけです。緊急時車線維持装置は、2026年1月9日に公布された告示で加わりました。
整備士オンラインは、機構の対象型式一覧の更新と、対象装置の追加を追っていきます。
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