NEXCO西日本は、広島から鹿児島へ高速道路で南下する車に、東九州自動車道への迂回を呼びかけています。
広島ICから鹿児島ICまで、料金所で案内される額は普通車で14,690円。九州自動車道が通れていれば11,670円で走れる区間です。差の3,020円は、後日の請求で調整されます。
九州道の松橋ICからえびのICまでは、いまも通行止めです。再開の日は決まっていません。料金調整の対象になる条件は5つあります。
国土交通省九州地方整備局とNEXCO西日本九州支社は8月4日13時、一般車両が通れるようになる見込みを発表しました。九州自動車道の松橋IC〜えびのIC(上下線)が「8月後半」、南九州自動車道の八代南IC〜田浦IC(上下線)も「8月後半」です。あわせて「現地の状況に応じて、一般車の通行が制限される可能性があります」と断っています。
その9日後、九州地方整備局が8月13日15時現在でまとめた第19報にも、「松橋IC~えびのIC:8月後半に一般車両通行可能(予定)」とだけ書かれています。
8月14日の時点で、再開の日は決まっていません。
見込みが「8月後半」のままなので、14日から16日の移動は、九州道で南北を通り抜けられない前提で組むことになります。
再開の日が決まらないあいだも、工事は進んでいます。8月11日9時ごろ、八代IC〜坂本PAで緊急車両が通れるようになり、NEXCO西日本はこれで「九州自動車道全線で緊急車両の通行が可能となります」と発表しました。通れるのは赤色回転灯を付けた緊急自動車と、災害派遣等従事車両証明書を持った車です(給水車とタンクローリーは証明書がなくても通れます)。同じ発表は、緊急車両が通れる区間について「路面に段差が残っているほか、ひび割れなどの損傷箇所を迂回して通行する必要がある」と書いています。
八代JCT〜人吉IC間にある長さ25〜32mの片野川橋は、橋桁がずれ、路面に段差とすき間が出ました。7月29日に有識者が確認し、7月30日から仮の支柱を組み、8月7日に桁を持ち上げて鋼製の支えを入れ、桁のすき間にコンクリートを打ち、8月9日から段差を直して、地震から14日後の8月11日に緊急車両が通れる状態になりました。このあと、一般車両を通すための復旧工事が続きます。
もう1つの川田橋は、8月11日8時の時点で下り線を緊急車両が対面通行しています。上り線の復旧はこれからです。
NEXCO西日本は8月5日に、東九州自動車道へ回ったETC車の通行料を、九州自動車道を通ったときの通常の料金より高くならないように調整すると発表しました。
料金調整の対象になるのは、下の図の【北区間】と【南区間】の間を走った場合です。

北区間は、九州自動車道なら鳥栖JCTから北の各IC、東九州自動車道なら津久見ICから北・西の各IC。関門橋から本州側の道路、長崎自動車道、大分自動車道、日出バイパスの各ICも入ります。南区間は、九州自動車道ならえびのICから南の各IC、東九州自動車道なら日向ICから南の各ICで、宮崎自動車道の各ICも入ります。
NEXCO西日本は、山陽自動車道の広島ICから九州自動車道の鹿児島ICまで走る普通車を例に挙げています。
| 通る道 | 料金所で案内される額 | 請求される額 |
|---|---|---|
| 九州自動車道(通行止めがない場合) | 11,670円 | ― |
| 東九州自動車道(迂回ルート) | 14,690円 | 11,670円(▲3,020円) |
調整前の14,690円は、広島IC〜佐伯本線料金所の9,010円と、門川本線料金所〜鹿児島ICの5,680円を足した額です。佐伯本線料金所と門川本線料金所の間は東九州自動車道の無料区間で、高速道路から降りずに続けて走れます。
逆に、東九州自動車道を通ったほうが安く済む組み合わせもあります。その場合は「料金は調整されません」と注記されています。
北区間と南区間の間を走ることに加えて、条件が5つあります。5つすべてを満たした車だけが対象です。
1つめはETC車であること。対象は全車種で、二輪車も軽自動車も大型車も入ります。同じ経路を走っても、現金で払えば14,690円のままです。
2つめは同じETCカードを挿したままにすること。高速道路に入る前から出た後まで、同じカードを挿しておきます。SA・PAでカードを抜いたら、走り出す前に挿し直します。
3つめは佐伯本線料金所と門川本線料金所の両方を通ること。北区間から南区間へ向かうなら佐伯、南区間から北区間へ向かうなら門川が先になります。
4つめはその2か所を6時間以内に通ること。先に通ってから6時間を超えると対象から外れます。仮眠も食事も渋滞待ちも、この6時間に含まれます。
5つめは通った日時が期間に入っていること。対象になるかどうかは、出発した時刻ではなく、佐伯本線料金所か門川本線料金所を通った時刻で決まります。8月7日0時以降に通った車が対象で、終わりは九州自動車道の松橋IC〜えびのICの通行止めが解除された日の23時59分です。
料金所で案内される額と車載器が読み上げる額は、どこを通っても調整前のものです。広島から鹿児島の例なら、佐伯までで9,010円、門川から先で5,680円と案内されます。請求されるのは調整後の11,670円です。
料金調整の対象になる走行では、NEXCO西日本が入口ICから出口ICまでを1回の利用として、ETCの各種割引を判定します。
お盆期間(8月7日〜16日)の渋滞予測は、この通行止めを踏まえて8月5日に作り直されました。NEXCO西日本は、通行止めの端になる松橋IC出口と、迂回先の東九州自動車道の両方に5km以上の渋滞を見込んでいます。
下の表は、その一覧から2地点を抜き出した8月14日から16日の3日ぶんです。カッコ内はピークの時間帯、kmはそのときの最大渋滞長です。
| 日 | 松橋IC付近(九州道・下り) | 延岡南IC付近(東九州道・上り) |
|---|---|---|
| 8月14日(金) | 15km(12時) | 15km(15時) |
| 8月15日(土) | 10km(12時) | 15km(13時) |
| 8月16日(日) | 10km(16時) | 5km(11時) |
松橋IC付近は、嘉島JCTから松橋ICへ向かう下り線です。下り線はここが終点になるため、お盆の前から毎日渋滞が出ています。この渋滞は走行車線に車が集中して起きています。NEXCO西日本は、走行車線と追越車線の両方を先端まで使って、1か所で交互に合流するよう呼びかけています(ファスナー合流)。緊急車両が近づいたら道を譲ります。
延岡南IC付近は、日向ICから延岡南ICへ向かう上り線です。迂回で交通量が増えたこちらにも渋滞が出ます。
南へ向かう車が通る下り線の地点は、上の表に入っていません。一覧は迂回に伴って見直した箇所に色を付けていて、東九州道の下り線では光国トンネル付近・築城IC付近・椎田南IC付近・九六位トンネル付近に、大分自動車道では鳥栖JCT付近に、5〜10kmの予測が並んでいます。上の表の延岡南IC付近は上り線なので、南下する車は通りません。
東九州自動車道を走るときの注意も2つ出ています。1つは、片側1車線ずつをワイヤロープで仕切った暫定2車線の区間があること。ワイヤロープへの接触事故が多発しているとして、NEXCO西日本はわき見運転と速度超過に注意を求めています。もう1つは休憩施設で、交通量が増えるとSA・PAの駐車場が満車になることがあるとして、早めの休憩を勧めています。
松橋ICで降りて一般道を走る手もあります。九州地方整備局は、松橋ICから八代市内(県道336号)までの所要時間を、並行する国道3号と県道14号の2本について日ごとに測って公表しています。
平常時の値は7月27日(月)の実測です。下の表は八代から松橋へ向かう北方面、つまりお盆の後半に戻る側の数字です。
| 日 | 国道3号(北方面の最大) | 県道14号(北方面の最大) |
|---|---|---|
| 7月27日(月)平常時 | 約20〜30分 | 約25〜40分 |
| 8月6日(木) | 121分(17時) | 93分(17時) |
| 8月9日(日) | 40分(15時) | 54分(10時・15時) |
| 8月11日(火) | 50分(11時) | 91分(10時) |
ピークの時刻は11時・15時・17時とばらついています。なお日別の資料は8月5日分から並んでいて、上の3日はそこからの抜粋です。
松橋ICで降りて南下する向きの最大は、国道3号が8月6日で72分、8月11日で52分。県道14号は78分と76分でした。
この間、道路の補修も進んでいます。九州地方整備局の8月9日時点の資料には、路面の悪い箇所を絞って直す作業の第1弾を8月8日に終えたこと、走りやすさを上げる舗装の補修を8月10日の夜間から始めること、国道3号と県道14号の混雑時間帯をSNSなどで知らせていることが並んでいます。8月11日の50分がそのままお盆に当てはまるとは限りません。日別の資料は8月11日分が最新で、当日の数字は出発前には出ないので、所要時間に余裕をもって出発することになります。
一般道の通行止めも残っています。八代市の県道338号八代不知火線は、橋の損傷で全線通行止めが続いています(8月13日15時現在)。国道219号は八代市の2か所、新萩原橋と豊原上町で緊急車両のみの通行です。
被災地へ向かう車には通行料の無料措置が2つありますが、どちらもETCが使えません。
災害派遣等従事車両の無料措置は7月29日からで、対象になる自治体は熊本県です。最寄りの都道府県か市町村に申請して「災害派遣等従事車両証明書」の交付を受け、証明書を車に積んで走ります。対象になるのは、被災自治体の要請で救援物資を避難所や災害対策本部(物資集積所を含む)へ運ぶ車、復旧・復興のための物資や人員を運ぶ車、被災自治体が災害救援に使う車です。
この証明書があれば、通行止めの区間も走れます。緊急車両が通れる区間を通れるのは、赤色回転灯を付けた車と、この証明書を持った車です。ただし宮原SAは管理用の出入口を使うため、出入りできるのは普通車以下か、車長7.5m以下の給水車・タンクローリーに限られます。
災害ボランティア車両の無料措置は7月31日からで、対象は、熊本県内の被災した自治体などが要請・受入承諾したボランティア活動に使う車です。「災害ボランティア車両 高速道路通行証明書発行サイト」で必要事項を入力して証明書を取ります。往路は被災地の指定IC出口で、顔写真付きの本人確認書類を見せて証明書を係員に渡します。活動が終わったらボランティアセンター等で証明書に活動確認の押印を受け、復路は到着地のIC出口で同じように提出します。熊本県は、期間を2026年10月31日までとしています。
どちらの措置も、料金所での通り方が決まっています。ETCカードを車載器から抜いて、入口では通行券を取り、出口は一般レーンで証明書を出します。料金調整はETC車だけが対象なので、この2つの措置と料金調整は同じ走行では両立しません。
ボランティアの受け入れにも条件があります。熊本県は、市町村によっては県内の他市町村や県外からのボランティアを断っている場合や、事前登録が要る場合があるとして、各被災市町村の社会福祉協議会に問い合わせるよう案内しています。
走る当日に高速道路と一般道が通れるかどうかを確かめる手順は【令和8年熊本地震】九州道・南九州道は橋桁のずれと路面段差で9区間が通行止め―変わり続ける通行可否の確かめ方をご覧ください。緊急車両が通れる区間と県道がどう動いてきたかは【令和8年熊本地震】発生4日目に動いたのは高速道路の区間数ではないにあります。九州以外を走る場合の渋滞予測は2026年お盆の高速道路渋滞予測と通行規制完全分析にあります。こちらは熊本地震の影響を対象外としているので、九州の区間は「8月14日から16日に予測されている渋滞」の表をご覧ください。
整備士オンラインは、一般車両が通れるようになる日を追っていきます。