入庫したGRヤリスの最大トルクが、390N·mに上がっていることがあります。社外品ではありません。トヨタの正規販売店で施工された純正のソフトウェアです。
トヨタが2022年1月に「KINTO FACTORY」として始めた後付けサービスは、2025年12月18日に「TOYOTA UPGRADE FACTORY / LEXUS UPGRADE FACTORY」への名称変更が告知されました。純正部品の後付けと並んで、車両のコンピュータを書き換える商品が同じ窓口で売られています。社外品が付いた個体をそのまま送ると、施工を断られてキャンセル料がかかることがあります。
(この記事は2026年8月15日時点の公式サイトの記載によります。)
公式サイトの説明はこうです。
トヨタ・レクサス・GRの純正オプションを、正規販売店 * で「後付け」ができるアップグレードサービス
この「*」に注記が付いています。
*トヨタユーゼックが運営する一部中古車販売店/ジェームス店でも同じ品質基準の施工が受けられます。
ジェームスはトヨタ系の用品店です。純正オプションの後付けを受ける窓口は、新車を売った店に限られません。
価格の出し方も書かれています。
部品代だけではなく 施工費・保証コミの価格で安心
工賃と保証を含んだ総額の表示です。
受付エリアは広がっている途中です。公式サイトには「*25年度内にアップグレードファクトリーは全国47都道府県で受付可能となる予定です」とあります。ニュース一覧に残っている「取り扱い販売店拡大」の告知は、2025年11月19日から2026年7月22日までの15回。初回で北海道・岩手・秋田など13の道府県が並び、以後はおおむね隔週です。北海道・和歌山・熊本のように同じ道県が繰り返し出るので、道県が増えているだけではありません。25年度は過ぎていて、告知は7月まで続いています。自分の県で受けられるかは、公式サイトの販売店一覧で引いてください。
商品名は「PERFORMANCE SOFTWARE 2.0」。公式の商品説明にはこうあります。
●エンジンの最大トルクを 390Nmへ向上
●エンジン・4WD・パワーステアリングの3つの機能は最大27パターンの組合せから選択
書き換わるコンピュータは3つです。エンジンコントロールコンピュータはアクセルレスポンスを高反応レスポンス・標準・コントロール重視から、4WDコンピュータはTRACKモード時の駆動配分を前輪55:後輪45・前輪50:後輪50(標準)・前輪45:後輪55から、パワーステアリングコンピュータはアシストを重め・標準・軽めから選びます。この組み合わせが27通りです。
施工できる場所は限られます。
●ソフトウェアの書換えは、GRガレージにて施工します
対象のグレードも限られます。
●本システムの適用車種/グレードは、GRヤリスRZ "High performance", RZ, RCです。RSグレードは適用対象外となりますのでご注意ください。
RC は RZ 系ではない別グレードです。RZ だけを見て対象外と判断すると、RC の個体を素通りします。
社外のECUチューンで最初に問題になるのは保証の扱いですが、この商品については公式サイトに明記されています。
●本システムを購入することによる、保証期間の変更・延長・追加制限はありません。
商品ページの表記も「保証 車両保証に準じる」「※部品代・取付費・保証 含む」です。「保証が切れているから社外品と同じ扱い」で済ませられません。
不具合が出たときの窓口は指定されています。
●万が一、不具合が発生した場合は、施工販売店にご相談ください。
書き換えが入った個体で不調が出たら、相談先は施工したGRガレージになります。預かった側でソフトウェア起因かどうかを判定する手段は示されていないので、施工の有無と施工した店を先に聞き、症状と条件を記録して渡すのが現実的な段取りです。
公式サイトの注意事項に、原状回復の条件があります。
●ソフトウェアを初期状態にする場合は、PERSONALIZE SETTINGをお申込みください ただしトルクアップのみ、施工後は初期状態には戻せませんので予めご了承ください。
設定の変更は「PERSONALIZE SETTING」で戻せますが、これは追加購入です。
●お客様は、本システムの施工後PERSONALIZE SETTINGを追加購入することができます。
トルクアップは戻りません。中古で入った個体は新車時の出力と違ったままなので、年式とグレードから仕様を推定する手順では追えません。査定や再販で仕様を書くときは、施工の有無を客に確かめてください。
中古車には、もう一つ条項が付きます。
●申込時にお客様が特定される対象自動車について、お客様が廃棄または第三者に譲渡・売却する等の方法でこれを手放された場合、お客様は本システムを利用することができません。
この条項は申込者本人についてのもので、譲渡された個体で新しい所有者が申し込めるかどうかまでは決まりません。中古の GRヤリスについて客から設定変更を聞かれたら、GRガレージへ問い合わせるよう案内してください。
まず、施工そのものに一般の条件が付いています。
●車両の状態や装着品によっては、導入できない場合があります。
そのうえでこの商品のページは「モデリスタ、TRD、GRパーツ等装着車について」と「非純正品の装着」を分けて、どちらにも「装着状況によっては施工をお断りの可能性がございます」を掲げています。2つは中身が違います。
| モデリスタ・TRD・GRパーツ装着車 | 非純正品の装着 | |
|---|---|---|
| 追加費用 | 持ち込み販売店によって異なり、施工後の実費精算 | 持ち込み販売店によって異なり、事前算出・支払いができず、施工後の実績精算 |
| 部品側 | 機能しなくなる・壊れる可能性。標準施工以外の装着品の脱着は作業品質を保証しない | 非純正品アイテムが機能しなくなる・壊れる可能性 |
| 納期 | 施工中に問題が出れば通常以上になる場合がある | 同じ記載あり |
| 断られたとき | 所定のキャンセル料 | 所定のキャンセル料 |
モデリスタ・TRD・GRパーツ側の記載はこうです。
追加費用(工賃・部品代)が発生する可能性がございます。
追加費用は持ち込み販売店によって異なり、施工後の実費精算となります。
施工中に問題が発生した場合は都度お客様と連絡を取りながら対応致しますので、納期が通常以上になる場合がございます。
脱着により装着部品が機能しなくなる、部品が劣化等で壊れてしまう可能性があります。標準施工以外の装着品の脱着などの作業品質の保証はし兼ねます。
非純正品側は、費用の書き方がもう一段強くなります。
追加費用は持ち込み販売店によって異なり、事前算出・お支払いはできず、施工後の実績精算となります。 非純正品の装着状況(例:内装パネル内の設置方法など)が正確に判断できないためです。
キャンセル料はどちらの項にも付きます。
お申込み後に、施工をお断りすることになった場合、所定のキャンセル料がかかります。
「非純正品」の線引きにも注意があります。
※トヨタ販売店で取付等を行っている場合でも非純正品の場合がございますのでご注意ください。
例:車両ECUと車両ワイヤーハーネスの間に取り付ける社外品(テレビキャンセラー、パワーバックドアオープンキット等) 例:カー用品店でのスピーカー取り付け、社外品の安全装備取り付け、社外品のカーナビなど
ディーラーで付けたから純正、にはなりません。車両ECUとハーネスの間に入る後付け品が名指しされています。
保安基準に適合しない状態の車は、この商品では受け付けません。
保安不適合車(違法改造) 施工のお受付はできません。
万一、お申込み後に保安不適合車(違法改造)であることが発覚した場合、所定のキャンセル料がかかります。
灯火類・シート・窓ガラス・ドアミラー・スポイラーの改造、タイヤ・ホイールのはみ出し、最低地上高の変更が例示されています。
施工前の条件だけではありません。書き換え済みの個体に手を入れるときの記載があります。
●該当ソフトウェア変更による使い方に制限はありませんが、車両の改造状態やメンテナンス状態により、性能が発揮できず悪影響を及ぼす可能性があります。
●指定サイズ以外のタイヤ、サスペンション、エンジン装備品など指定された部品以外の装着時、タイヤやエンジンのメンテナンスの状況によっては性能に悪影響を及ぼす可能性があります。
●サスペンションの改造により車高や車の傾きが変化している場合なども性能に悪影響を及ぼす可能性があります。
タイヤのサイズ、サスペンション、エンジン装備品、そしてメンテナンスの状態。書き換え済みの個体にインチアップや車高調を入れたあとで挙動を相談されたときに、原因の候補へ自分の作業を入れられるかどうかが変わります。
ソフトウェアを書き換える商品はGRヤリスだけではありません。アルファード・ヴェルファイア(2015〜2023)には「パワースライドドア速度UP(片側 or 両側)」があり、公式の説明は「ソフトウェアを書き換えることでパワースライドドア(両側)の開閉速度をアップさせます。」です。
純正部品の後付けも車種が広がっています。2026年に公式が出した告知には「新型RAV4向け純正アクセサリー」(5月19日)、「新型車ランドクルーザー“FJ”・新型ハイラックス・ランドクルーザー“250”向け純正アクセサリー」(7月8日)、「RAV4、ハリアー、LBX、GX向けの新アイテムを発売」(7月22日)が並びます。6月24日には50系RAV4の「純正リフトアップ」が加わりました。告知は「迫力の2インチアップとトヨタ純正の安心感を両立した、50系RAV4「純正リフトアップ」が登場 トヨタ アップグレード ファクトリーを通じた事前検査を経て、販売店での施工が可能に」。2インチ上がる商品で、施工の前に検査が入ります。最低地上高や灯火器の高さを見る側には関わります。
対応車種は車名だけでは決まりません。公式の車種一覧は「RAV4(2019〜2025)」と「RAV4(2025〜)」を別の項目にしていて、「ランドクルーザープラド(2009〜2024)」「トヨタ86(2012〜2021)」のように生産終了済みの型も並びます。
適合は車台番号で出ます。
車台番号 であなたのクルマに施工可能な商品を検索できます
車名とグレードで答えず、公式サイトで車台番号を入れて引くのが確実です。
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