「古いETC車載器を使っていると、将来的に使えなくなるらしい」
そんな噂を耳にしたことはありませんか?
これは単なる噂ではなく、電波法やセキュリティ規格の変更に伴う、避けては通れない「2つの期限」の話です。長年同じ車に乗っている方や、中古車を購入された方は、知らず知らずのうちに「使ってはいけないETC」を使っている可能性があります。
今回は、少し複雑な「2022年問題」と「2030年問題」について、何が違うのか、自分のETCは大丈夫なのかを分かりやすく解説します。
ETCを取り巻く環境には、現在2つの大きな「壁」が立ちはだかっています。
それぞれ理由も、使えなくなる時期も異なります。詳しく見ていきましょう。
これは、「旧スプリアス規格」に基づいて製造されたETC車載器の問題です。
無線機器から発射される電波のうち、本来必要のない「余計な電波(不要輻射)」のことです。これが多いと、他の通信機器(携帯電話やテレビなど)の電波を妨害してしまう恐れがあります。電波環境をクリーンにするため、国は「古い基準の機械はもう使わないでね」と決めました。
当初は2022年11月30日で使用期限を迎える予定でした。しかし、昨今の社会情勢(新型コロナウイルスの影響による移行の遅れなど)を鑑みて、総務省はこれを「当分の間」延期することとしました。
⚠️ 注意点
「延期」されただけで、規制自体がなくなったわけではありません。近い将来、確実に使えなくなります。この規制が適用されると、対象のETCを使って電波を発した時点で電波法違反となります。
こちらの方が、より多くのユーザーに影響する深刻な問題です。
ETCはクレジットカード情報などの重要なデータを無線でやり取りするため、情報を暗号化しています。
コンピューターの計算能力が飛躍的に向上した現代では、昔の暗号技術(鍵の長さ)ではハッカーに解読されるリスクが高まりました。
そこで、家の鍵をより複雑なものに取り替えるように、ETCシステム全体のセキュリティ規格を変更することになったのです。
「遅くとも2030年頃まで」とされています。
ただし、これはあくまで予定です。もし既存のセキュリティに重大な欠陥が見つかったり、海外でハッキング被害が出たりした場合は、2030年を待たずに前倒しで使えなくなる可能性があります。
「自分のETCがどちらの対象か分からない」という場合、以下の手順で確認してください。
車載器本体のラベル、または「ETC車載器セットアップ申込書・証明書」に記載されている19桁の数字を見てください。
| 最初の数字 | 判定 | 解説 |
|---|---|---|
| 1... | ○ 新規格 | 今後も問題なく使用可能です。 |
| 0... | × 旧規格 | 2030年までに使えなくなります。 |
※ 「0」から始まる場合でも一部例外的に使える機種がありますが、基本的には「0=旧規格」と考えて差し支えありません。
車載器本体にプリントされているロゴマークや記号でもある程度の判別が可能です。
ETC車載器(従来型)の場合
ETC2.0車載器の場合
Panasonic、DENSO、三菱電機など、各メーカーのWebサイトには「旧スプリアス規格・旧セキュリティ規格 対応表」が掲載されています。型番(例:CY-ET900など)が分かれば、そこで一発検索するのが確実です。
もし、あなたの愛車のETCが「10年以上前に取り付けたもの」や「中古車購入時に最初からついていたもの」であれば、次の車検やメンテナンスのタイミングで、カー用品店やディーラーに「このETC、将来も使えますか?」と聞いてみることを強くおすすめします。