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    マフラー・触媒・DPFは何度になるのか―止めたあとの温度、草が燃え始める温度、遮熱板の役割と点検

    整備士オンライン編集部
    2026年10月28日 21:44
    約29分
    マフラー・触媒・DPFは何度になるのか―止めたあとの温度、草が燃え始める温度、遮熱板の役割と点検

    目次

    排気系の外側の温度
    草が燃え始める温度と、触れている時間
    エンジンをかけたまま止めている車
    DPF再生中に止めるとき
    遮熱板が守っているもの
    点検で見るところ
    HV・EVでは
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    乗用車の排気系に熱電対を溶接して温度を測った米国の試験では、排気系の外側の表面がいちばん熱くなったのは、走っている最中ではありませんでした。走ってきて急に止まったあとです。草の上に車を止める場面は、走ってきて止めた直後から始まります。

    お客に「乾いた草の上に止めないでください」と言うとき、根拠にできる数字がこの試験の論文に載っています。本文では、排気系の外側の温度が止めたあと何分続いたかと、乾いた植物が何度の面に何分触れると燃え始めたと報告されているかを見ます。

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    排気系の外側の温度

    米国の自動車技術者協会(SAE)で2017年に発表された研究は、乗用車1台の排気系に沿って、触媒コンバーターを含む数か所に熱電対を溶接し、走り方を切り替えながら外側の表面温度を測りました。結果は次の3点です。

    • 排気系の部品は400℃に達した
    • その温度は、車が止まったあとも数分続いた
    • 外側の表面が最も高くなったのは、急に止まったあとだった

    論文は、温度が落ち着いた状態や走行中だけの測定では、最も熱いときの温度をとらえられるとは限らないと書いています。

    この研究の数字は、草が触れる外側の表面の温度です。測ったのは1台で、急に止まる走り方を含む試験なので、車種や走り方で値は変わります。ふつうに草地へ乗り入れて止めたときに同じ温度になることを示した試験ではありません。

    熱は表面からだけではありません。ホンダのN-BOXの取扱説明書は、枯れ草や紙、油、木材など燃えやすいものがある所に駐停車しないよう書き、排気管や排気ガスの熱で着火するおそれがあるとしています。植え込みの近くに止めるときは、排気ガスが植え込みに当たらない向きに止めるよう求めています。

    草が燃え始める温度と、触れている時間

    同じ論文は、乾いた植物が熱い面で燃え始める条件を、これまでの研究から次のようにまとめています。燃えるかどうかは植物の種類、面の温度、触れている時間、気温や風で決まります。

    面の温度燃え始めることがあると報告された、触れている時間
    300℃10分以上
    400℃3分
    500℃数秒

    1つ目の節の測定と並べると、止めたあと数分続いた400℃は、乾いた植物が3分で燃え始めることがあると報告された温度です。論文は、試験した車の排気系は乾いた植物に火をつけうると結論づけています。表の時間は植物の種類や触れ方で変わり、何分までなら止めていてよいという数字ではありません。

    「何度で燃えるか」は1つの数字では答えられません。300℃の面でも10分以上触れていれば燃えることがあり、500℃なら数秒で燃えることがあります。燃えるかどうかは温度だけでなく、止めたあと草が排気系に触れたままの時間でも変わります。

    木材については、郡山地方広域消防組合が、徐々に加熱すると260℃から416℃で自然に発火し、100℃から150℃でも長時間加熱されると炭化して、炎が触れなくても燃えると説明しています。

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    エンジンをかけたまま止めている車

    消防庁の火災調査書類の作成マニュアルは、マフラーの過熱による車両火災の記載例として、エンジンをかけたまま運転席で仮眠し、アクセルに足がかかる位置にいた例を挙げています。車は排気管まわりを中心に焼け、触媒付近のアンダーコートが焼け、マフラーを吊るゴムのOリングが焼け切れていました。近所の人は、出火の20分ほど前から空吹かしのような音を聞いていました。

    DPF再生中に止めるとき

    ディーゼル車のDPF(ススをためて焼く排気のフィルター)は、ススがたまると自動で焼く「再生」をします。トヨタのランドクルーザー250とハイラックスの取扱説明書は、再生中について次のように警告しています。

    お守りいただかないと、高温になった排気管・排気ガスによりやけどなどの重大な傷害を受けたり、火災などが発生するおそれがあり危険です。
    燃えやすいものや乾いた草などの近くに車を停車しない

    いすゞのエルフ・フォワードのDPD(いすゞの呼び名)の取扱い方法(国土交通省のサイトに掲載)は、手動再生の手順の1番目に次を置いています。

    草木や枯れ草、紙くずなど、燃えやすいものがない安全な場所に停車してください。

    手動再生は通常15〜20分ほどで終わり、そのあいだ車から離れないよう書いています。同じ資料は、自動再生はエンジンを止めると中断されるので、できるだけ終わるまでエンジンを切らないようにすると効率よく再生できる、とも書いています。再生を続けたまま休憩で止めるなら、止める場所は燃えやすいものがない所を選ぶことになります。

    ランドクルーザー250の取扱説明書は、再生の処理中は排気管の周りに人がいないことを確かめ、車庫内など囲まれた場所では行わず、排気管や排気ガスに触れないようにとも書いています。

    工場で強制再生をかけるときも同じです。日立Astemoの診断機の作業ガイドは、強制再生中は排気管まわりが高温になるとして、周囲に可燃物がなく換気が十分にできる場所に車を止めるよう求めています。

    再生の温度の目安として、日本機械学会の論文(2013年)は、模擬のスス(カーボン粒子)を使った試験装置で、400℃で粒子が酸化し、600℃で再生が大きく進み、実用に適した温度だったと報告しています。

    遮熱板が守っているもの

    遮熱板は排気管の熱から車のほかの部品を守っています。遮熱板が何を守っているか、排気の熱が何を傷めるかは、リコールの届出に書かれています。

    日野自動車が2026年7月1日に届け出た日野レンジャーのリコールは、ブレーキホースを守る遮熱板に防錆処理をしていないものがあり、腐食して脱落すると、排気管の熱でブレーキホースが損傷し、エア漏れで制動力が下がるおそれがあるというものです。

    遮熱板への言及はありませんが、排気の熱が何を傷めるかを示す届出もあります。フォード・ジャパンが2016年5月20日に届け出たリコールでは、排気管の熱害対策が不適切なため、熱が燃料タンク、燃料蒸発ガスを抑える装置の配管、駐車ブレーキの固定部品に伝わって溶けるおそれがあり、最悪の場合、燃料が漏れて火災に至るおそれがあるとしています。

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    点検で見るところ

    自動車点検基準の自家用乗用自動車等の定期点検(別表第6)で、排気系に関わる項目のうち、本記事に関係するものを抜き出すと次のとおりです。

    点検箇所1年ごと2年ごと(1年ごとに加えて)
    エグゾースト・パイプ及びマフラ取付けの緩み及び損傷マフラの機能
    一酸化炭素等発散防止装置触媒反応方式等排出ガス減少装置の取付けの緩み及び損傷

    1年ごとの「取付けの緩み及び損傷」は、車検証の交付日または前回その点検をした日からの走行距離が1年あたり5千km以下の車で、前回その点検をするはずの時期に点検をしていれば、省略できます。車検証の有効期間が3年とされた車は、2年目に1年ごとの項目、3年目に2年ごとの項目を点検します。遮熱板という名前の項目はありません。

    トヨタのハイラックスの取扱説明書は使用者向けに、排気管の腐食による穴や亀裂、継ぎ手部の損傷、排気音の異常に気づいたら点検を受けるよう書いています。ランドクルーザー250の取扱説明書は、DPFの故障を防ぐための注意として、排気管の改造をしないことと、排気管の腐食や亀裂、異音がないかを定期的に点検することを挙げています。

    エンジンルームについて、日本自動車工業会はウエスやタオル、軍手の置き忘れと、小動物や鳥が持ち込んだ枝や枯れ草がないかを走行前に確かめるよう呼びかけています。油のしみ込んだ布は熱で発火しやすいとしています。

    HV・EVでは

    ハイブリッド車は、エンジンが止まっていてもREADYのままなら、車の状態に応じてエンジンが自動でかかります(トヨタのアクアの取扱説明書)。エンジン音がしなくても、READYのまま止めていれば、草の上でエンジンがかかることがあります。EVには排気管がありません。

    国内の草地での火災の事例と、止める場所の見分け方は河川敷や畑に車を止める前に―枯れ草で車が燃えた国内の火災、取扱説明書が止めないよう書いている場所、止めたあとに車の下で見るところをご覧ください。海外の草原火災の事例は枯れ草で車が爆発炎上!?排気熱800度と世界各地の火災大検証で読めます。段差や地震で下回りを打った車の、マフラーの歪みや配管の見方は地震の段差で愛車のお腹が悲鳴 マフラー歪み・下回り損傷をご覧ください。

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    • 河川敷や畑に車を止める前に―枯れ草で車が燃えた国内の火災、取扱説明書が止めないよう書いている場所、止めたあとに車の下で見るところ

    出典

    一次情報

    • 国土交通省「リコール届出一覧表」日野自動車 届出番号5841(2026年7月1日届出) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002009279.pdf

    • 国土交通省「リコール届出一覧表」フォード・ジャパン・リミテッド 外-2334(2016年5月20日届出) https://www.mlit.go.jp/common/001131892.pdf

    • 自動車点検基準(昭和26年運輸省令第70号)別表第6(e-Gov法令検索)

    • 国土交通省掲載 いすゞ自動車「DPDの取扱い方法について」 https://www.mlit.go.jp/common/000233892.pdf

    • 総務省消防庁「標準火災調査書類作成マニュアル」(令和4年8月) https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/cause/items/cause002_tyousamanyuaru_koukai.pdf

    • トヨタ自動車 ランドクルーザー250 取扱説明書「排出ガス浄化装置(DPF)(ディーゼル車)」 https://manual.toyota.jp/landcruiser250/3055/cv/ja_JP/contents/vhch04se050438.php

    • トヨタ自動車 ハイラックス 取扱説明書「排出ガス浄化装置(DPF)」 https://manual.toyota.jp/hilux/2605/cv/ja_JP/contents/vhch04se050429.php

    • トヨタ自動車 ハイラックス 取扱説明書「排気ガスに対する注意」 https://manual.toyota.jp/hilux/2605/cv/ja_JP/contents/vhch01se010405.php

    • 本田技研工業 N-BOX(2026)取扱説明書「駐車する」 https://www.honda.co.jp/ownersmanual/webom/jpn/n-box/2026/details/136238090-29190.html

    • トヨタ自動車 アクア 取扱説明書「パワー(イグニッション)スイッチ」 https://manual.toyota.jp/aqua/2509/hev/ja_JP/contents/vhch04se020401.php

    • 日本自動車工業会「車両火災の原因は?」 https://www.jama.or.jp/operation/maintenance/pdf/vehicle_fire_2010.pdf

    • 郡山地方広域消防組合「壁から煙が?あっ!火事だっ!!」 https://www.shobo.koriyama.fukushima.jp/information/files/83ae86c6c7f15625ab63ada1d257437c9d2e3387.pdf

    • Morse, T., Cundy, M., Kytomaa, H., "Vehicle Fires Resulting from Hot Surface Ignition of Grass and Leaves," SAE Technical Paper 2017-01-1354(抄録) https://saemobilus.sae.org/papers/vehicle-fires-resulting-hot-surface-ignition-grass-leaves-2017-01-1354

    • 日本機械学会論文集B編 79巻803号「カーボン粒子を用いたDPFの捕集及び再生性能の評価」(抄録) https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaib/79/803/79_1333/_article/-char/ja

    準一次

    • 日立Astemoアフターマーケットジャパン 診断機作業ガイド(日野 DPR強制再生) https://www.aftermarket.astemo.com/japan/ja/automotive/assets/docs/GUIDE_8000_HINO_WS_DPF.pdf

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