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車にはヒューズが1台あたり50〜60個使われていて、そのほとんどがエンジンルームと室内のヒューズボックスに収まっています(太平洋精工)。ランプがつかない、電気で動く装置が働かないとき、トヨタとホンダの取扱説明書は、ヒューズが切れていないかを確かめるよう案内しています。
取扱説明書が持ち主の交換を案内している差し込み式のヒューズなら、作業は電源を切ってヒューズボックスのふたを開け、ヒューズを抜いて差し替えるだけです。差し替える前に、50個あまりの中から止まった装置のヒューズを探し、同じ形と容量の新しいヒューズを用意します。その手がかりは、取扱説明書とヒューズボックスの表示にあります。替えたヒューズがまた切れたとき、どこから先を整備工場に任せるかの目安も、取扱説明書に書かれています。
ヒューズはバッテリーから電装品へ向かう回路の途中に入っている部品です。その先でショートなどが起きて電流が流れすぎると、中の細い金属の部分が熱で溶けて切れ、電流を止めます。守っているのは、その回路の電線と電気機器です(太平洋精工)。トヨタの取扱説明書も、回路に過剰な負荷がかかると、配線が損傷を受ける前にヒューズが切れるように設計されていると書いています。
ヒューズが無いと、電線が焼き切れるまでバッテリーから電流が流れ続け、最悪の場合は火災になります(太平洋精工)。
ヒューズに書かれた「10A」「15A」などの数字は定格電流で、ヒューズはこの電流なら流し続けられます。定格を超えても、すぐに切れるとは限りません。切れるまでの時間は、流れた電流が定格の何倍かで変わります。太平洋精工によると、同社のミニヒューズ(BFMN)の場合、この時間の幅は国際規格のISO 8820-3と国内規格のJASO D612で決められています。その値は次のとおりです。
| 流れた電流 | 切れるまでの時間 |
|---|---|
| 定格の1.1倍 | 100時間以上切れない |
| 定格の1.6倍 | 0.25〜50秒 |
| 定格の2倍 | 0.15〜5秒 |
| 定格の3.5倍 | 0.04〜0.5秒 |
| 定格の6倍 | 0.02〜0.1秒 |
同社は、ヒューズの特性は使い方の条件で変わる場合があるとしています。
ワイパーやパワーウインドウのようにモーターで動く装置の回路には、動き始めに流れる大きな電流ですぐに切れないよう、ゆっくり温まってから切れる「スローブローヒューズ」が一般的に使われます。ランプなどの回路には、平たい差し込み式のブレードヒューズが一般的に使われます(太平洋精工)。どの回路にどの種類と容量を使うかは車ごとに決まっているので、交換するときは車の指定に従います。
ヒューズは回路ごとに分かれています。ホンダ N-BOX(2026年版)の取扱説明書には、ヒューズの番号ごとに、つながる装置と容量の表があります。たとえば室内のヒューズボックスでは、アクセサリーソケットが20A、運転席のパワーウィンドーが20A、USBチャージャーと電動ドアミラーがそれぞれ7.5Aです。
1つのヒューズが2つ以上の装置を受け持つこともあります。同じ表のエンジンルーム側では、「ホーン・制動灯」が1本の10Aヒューズです。止まった装置の名前で表を引くと、点検するヒューズが分かります。
ランプがつかないときは、電球が切れていることもあります。トヨタの取扱説明書は、ヒューズを交換してもランプ類が点灯しないときは電球を交換するよう書いています。
取扱説明書で確かめた次の5車種は、どれもエンジンルームと室内の両方にヒューズボックスがあり、室内側の場所は車種で違います。
| 車種(取扱説明書の版) | ヒューズボックスの場所 |
|---|---|
| トヨタ ヴォクシー(2025年9月〜、ガソリン車) | エンジンルーム、助手席の足元 |
| トヨタ GR86(2023年9月〜) | エンジンルーム、運転席の足元 |
| トヨタ ハイエース コミューター(2026年1月〜) | エンジン点検口の中に2か所、助手席の足元、グローブボックスの下 |
| ホンダ N-BOX(2026年版) | エンジンルームの助手席側のバッテリーの隣、インストルメントパネルの奥(下からのぞく) |
| ホンダ フィット(2026年版) | エンジンルームのメインヒューズボックス、バッテリーの+端子の隣、室内 |
トヨタの取扱説明書では、「お手入れのしかた」の中の「簡単な点検・部品交換」に「ヒューズの点検・交換」のページがあります。ヒューズボックスの開け方は図つきで載っていて、交換するときは、どのヒューズが何アンペアかを示したヒューズボックスの表示に従うよう書かれています。
ホンダの取扱説明書はヒューズボックスの図に番号を振り、番号ごとの装置と容量を表にしています。容量に( )が付いたヒューズは、その装備が無い車にも入っている場合があります。カー用品メーカーのエーモンはヒューズボックスのカバーと取扱説明書に、電装品ごとのヒューズと容量が書かれているとしています。
ヒューズを抜く道具(ヒューズはずし、ヒューズプラー)の扱いも車種で違います。トヨタはヒューズはずしで引き抜けると書き、フィットではエンジンルームのメインヒューズボックスのフタの裏にヒューズプラーが付いています。N-BOXの取扱説明書は小さいヒューズを市販のヒューズプラーで引き抜くよう書いています。
差し込み式のヒューズには大きさの違う形があり、車種によって使っている形が違います。エーモンは、自分の車のヒューズが平型・ミニ平型・低背のどれかを確かめるよう求めています。同社の製品の大きさは次のとおりです。
| 名前(エーモン) | 大きさ |
|---|---|
| 平型 | 約19×約19×約5mm |
| ミニ平型 | 約11×約16×約4mm |
| マイクロ2 | 約9×15×4mm |
| 低背 | 約11×約9×約4mm |
太平洋精工によると、今の標準はミニヒューズで、それをさらに小さくした低背ヒューズも出ています。古くはガラス管に金属を収めたガラス管ヒューズが使われていました。形が分からなければ、エンジンスイッチをOFFにし、自分の車の取扱説明書で手順を確かめてから、今付いているヒューズを1本抜いて見比べます。
ヒューズの胴は容量ごとに色分けされています。太平洋精工のミニヒューズ(ISO 8820-3準拠)の色は次のとおりです。
| 容量 | 色 |
|---|---|
| 1A | 黒 |
| 2A | 灰 |
| 3A | 紫 |
| 4A | ピンク |
| 5A | タン(薄い茶) |
| 7.5A | 茶 |
| 10A | 赤 |
| 15A | 青 |
| 20A | 黄 |
| 25A | 白(ナチュラル) |
| 30A | 緑 |
同社のミニより小さい型と幅の狭い型の一覧でも、同じ容量には同じ色が付いています。小さい型には13A(淡いオレンジ)と17A(水色)もあります。容量はヒューズ本体にも数字で書かれています(エーモン)。
上の表のエーモンの製品はいずれも12V車と24V車のどちらにも使えるとしています。
トヨタの取扱説明書は、ヒューズが切れた原因が電気の過剰負荷だと分かったときは、交換する前に販売店で点検を受けるよう求めています。
次の手順は、取扱説明書が持ち主の交換を案内している、差し込み式の小さいヒューズのものです。ネジで留めた大きいヒューズや、取扱説明書が販売店での修理を求めているヒューズは、この手順の対象ではありません(この節の最後の段落)。始める前に、自分の車の取扱説明書で、そのヒューズの交換方法を確かめます。トヨタとホンダの取扱説明書の手順をまとめると、次のとおりです。
トヨタはトヨタ純正ヒューズか同等品を使うよう求めています。規定の容量以外のヒューズや、ヒューズ以外のものは使わないでください。トヨタの取扱説明書は、守らないと車の故障や火災、けがのおそれがあると警告しています。
エンジンルームの大きいヒューズは、扱いが車種で違います。N-BOXの大きいヒューズはプラスドライバーでネジを外して交換する方式です。フィットでは、バッテリーの+端子の隣のカバーの中のヒューズが切れていたら、Hondaの販売店に修理を頼むよう書かれています。
トヨタの取扱説明書は、交換してもまたヒューズが切れる場合は販売店で点検を受けるよう書いています。ホンダの取扱説明書も、交換してすぐにヒューズが切れるような場合は販売店で点検を受けるよう求めています。同じ容量のヒューズがまた切れるなら、流れすぎやショートなどの原因が回路の側に残っている可能性があります。
自分で確かめられるのは、その回路に何をつないでいるかです。
アクセサリーソケットにつないだ機器で切れることがあります。トヨタ ヴォクシーの取扱説明書は、ヒューズが切れるのを防ぐために、DC12V/10A(消費電力120W)以上の電気製品を使わないよう書いています。ソケットが複数あるときの上限は、つないだ製品の消費電力の合計で120W未満です。ソケットに異物が入ったり飲み物がかかったりするとショートや故障の原因になるので、使わないときはフタを閉めておくよう求めています。
後から付けた電装品の配線も疑う場所です。国土交通省は、後付け電装品の取り付けが原因と推定される車両火災が起きているとして、配線が車体とショートしないよう注意し、適切なヒューズを取り付けるよう呼びかけています。
ヒューズボックスから電源を取る部品(ヒューズ電源)を使っている場合、エーモンは、交換するヒューズは必ず同じ容量にするよう求めています。同社はヒューズ電源でつなぐ電装品を、ヒューズ電源の配線に付いている管ヒューズの容量を超えないものにするよう求めています。
整備工場に持ち込むときは、止まった装置、切れたヒューズの番号と容量、替えてすぐ切れたか、しばらく使ってから切れたか、後から付けた電装品があるかを伝えます。
車の電線の太さはその回路のヒューズの容量に合わせて選ばれています(太平洋精工)。車を軽くするために電線はできるだけ細いものが使われていて、ふだん流れる電流と、その電線に流してよい電流の差は小さくなっています。
容量の大きいヒューズを差すと、電線に流してよい電流を超えても、ヒューズが切れないことがあります。エーモンも同社のヒューズ電源の電源取り出し側の管ヒューズについて、容量を上げるとメイン配線に負担がかかり、配線コードの発熱や火災の原因になるとしています。ホンダの取扱説明書は、規定容量より大きいヒューズに交換すると電気系統を損傷する危険性が高くなると書いています。
トヨタの取扱説明書の警告は「規定容量以外のヒューズ」で、大きい容量だけでなく小さい容量も含みます。手元に同じ容量のヒューズが無いときに、容量の大きいもので代わりにすることも、この警告に当たります。
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