2026年のWBCで、日本代表は準々決勝でベネズエラに敗れ、連覇の夢は途切れました。
それでも大会を振り返ったとき、多くの人の記憶に残っているものがあります。
そのひとつが、大谷翔平が打席へ向かうときに流れていた登場曲「Feeling Good」です。
静かなイントロから始まり、少しずつ緊張感を高め、最後に力強く解放されるあのサウンドは、勝敗を超えて今大会の象徴的な場面と重なりました。
そして実はこの曲、13年前に日本の自動車CMでも使われていました。
「Feeling Good」は1965年、イギリスのミュージカル『The Roar of the Greasepaint – The Smell of the Crowd』のために作られた楽曲です。
その後、多くのアーティストがカバーしてきましたが、特に広く知られているのがニーナ・シモンによるバージョンです。
この曲の魅力は、静けさの中から始まり、徐々に熱量を高め、一気に視界を開くような高揚感へつながる構成にあります。
そのため、スポーツの登場演出や映像演出との相性が非常に良く、大谷翔平の打席シーンとも強く結びついて聞こえました。
この「Feeling Good」は、2013年にホンダ・アコード ハイブリッドのCMソングとしても使われていました。
当時のCMでは、落ち着いた映像の中で楽曲の高揚感をじわじわと立ち上げることで、車の上質さと力強さを印象づけていました。
今あらためて振り返ると、この曲が持つ静かな自信から力強い解放への流れは、スポーツの登場演出にも通じるものがあります。
13年前の自動車CMで使われたこの選曲が、2026年のWBCで大谷翔平の登場シーンと重なって見えるのは、大谷翔平という選手の圧倒的迫力があってこそでしょう。
スポーツの登場曲では、最新ヒット曲より、長く聴かれてきた名曲が選ばれることがあります。
理由としては、次の3点が大きいでしょう。
「Feeling Good」はその代表例です。
わずかな時間で、静けさ、緊張感、高揚感を順番に立ち上げられるため、打席へ向かう数十秒の演出に非常に向いています。
今回のWBCは、日本にとって悔しさの残る大会になりました。
それでも、大谷翔平の一打や立ち姿、そして打席へ向かう瞬間に流れた「Feeling Good」まで含めて、多くのファンの記憶に残る大会だったことは間違いありません。
勝てなかった大会だからこそ、結果だけではなく、印象に残った場面や演出をあらためて思い返す人も多いはずです。
その意味で「Feeling Good」は、2026年WBCを象徴する一曲のひとつだったと言えるでしょう。
そしてその背景をたどると、1960年代の名曲であり、2013年のホンダCMにも使われていたという意外な接点に行き着きます。
ただの登場曲として流れていた一曲が、時間を超えて別の文脈で再び輝く。
そこに、名曲と演出の面白さがあります。
作者追記:
決勝まで見たかったです。