2026年の東京オートサロン。カスタムカーの喧騒の中で、ひときわ異彩を放っていたのがテンフィールズファクトリー(10 Fields Factory)のブースでした。彼らが提示したのは、単なる充電器の設置ではなく、「不動産・エネルギー・時間」を再定義するという、極めて野心的なビジネスモデルです。
現在の移動インフラを、「時間」「体験」「利便性」の観点から比較しました。10フィールズが目指す「E-REVO」が、いかに既存の常識を塗り替えているかが分かります。
| 比較項目 | ガソリンスタンド (SS) | 従来のEV充電 (旧型) | E-REVO (FLASH) |
|---|---|---|---|
| 所要時間 | 3〜5分 | 30〜60分 | 約15分 |
| 待ち時間の質 | 作業(給油・支払い) | 忍耐(手持ち無沙汰) | 体験(散策・休息・情報) |
| 支払い方法 | 現金・クレカ | 専用会員カード必須 | クレカ・QR決済(会員不要) |
| 設置場所 | 危険物施設(専用地) | 駐車場の隅 | 街の隙間(自販機サイズ) |
| 付加価値 | 洗車・オイル交換 | 特になし | 観光案内・地域広告・リゾート |
| ビジネスモデル | 労働集約型 | インフラ維持型 | 不動産・広告連動型投資 |
現在、彼らが展開するEV充電ネットワーク「E-REVO」の設置台数は約250台。これを来年度には一気に500台まで倍増させる計画です。この数字の背後には、既存のインフラが抱える「弱点」を突く緻密な戦略があります。
従来の超急速充電器は、大規模な受電設備(キュービクル)が必要な「大がかりな工事」を伴うものでした。しかし、彼らの主力製品「FLASH」シリーズは、その機能を「自動販売機サイズ」に凝縮。


現在、全国のガソリンスタンドは約15,000拠点。対してEVの急速充電器は既に約13,000口に達しています。数字の上では肉薄していますが、現場には決定的な「断絶」があります。
彼らが目指す「500台」は、単なる増加ではありません。「古くて遅い13,000台」を「新しくて速い500台」で置き換えるという、量から質へのパラダイムシフトなのです。
最新の超急速充電をもってしても、ガソリン給油のように3分で終わるわけではありません。どうしても「15分」程度の時間はかかります。しかし、この15分こそが、彼らのビジネスの真髄です。
現代社会は「タイパ(タイムパフォーマンス)」に追われ、1分1秒を惜しむ効率の奴隷となっています。その中で、EV充電に伴う15分をあえて「取り戻した余白」と捉える視点があります。
「車を離れ、周囲を見渡して散歩したり、一息ついたりする。」
この「何もしない権利」や「偶然の発見」を肯定する姿勢こそ、効率化に疲弊した私たちへのアンチテーゼではないでしょうか。
10フィールズは、自社でリゾートホテルやグランピング施設も手がけています。
彼らにとってEV充電器は、車に電気を入れる機械であると同時に、人の心に「ゆとり」を注入するメディアなのです。

不動産会社としての土地勘、エネルギー事業としての太陽光、そしてリゾート事業としての体験。これらを「自販機サイズの充電器」という一点に集約させたテンフィールズファクトリー。
「15分かかるから不便」なのではなく、「15分あるからこそ、人生は少し豊かになる」。
オートサロンで語られたそのビジョンは、効率ばかりを追い求める現代社会において、最も新しく、そして最も人間らしい挑戦なのかもしれません。
参考サイト
テンフィールズファクトリー公式サイト
https://10-ff.com/