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冬用タイヤ規制が出ている高速道路では、冬用タイヤを付けておらず、チェーンも積んでいない車は、最寄りのインターチェンジで降りることになります。NEXCO中日本東京支社が2025年12月8〜12日に東名・中央道の休憩施設で調べたところ、冬用タイヤを付けていた普通車・軽自動車は53%でした。
夏も冬も履き替えずに使うオールシーズンタイヤで、この規制は通れるのか。通れるとして、スタッドレスタイヤの代わりになるのか。
規制ごとの扱いは、国土交通省とNEXCO東日本・中日本・西日本の高速道路3社の案内、タイヤメーカーの注意書きに書かれています。スタッドレスタイヤとの差は、日本自動車連盟(JAF)が6種類のタイヤを比べた試験に数字があります。
冬の高速道路には速度規制や通行止めもありますが、タイヤとチェーンにかかわる規制は2つです。冬用タイヤかチェーンがないと走れない「冬用タイヤ規制」と、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が出るような異例の大雪のときに、決まった区間でチェーンがないと走れなくなる「チェーン規制」です。
| タイヤ | 冬用タイヤ規制 | チェーン規制 |
|---|---|---|
| 夏タイヤ | チェーンを付ければ通れる | チェーンを付ければ通れる |
| オールシーズンタイヤ(スノーフレークマークがなく、M+Sの表記だけ) | 高速道路3社の案内に出てくる表示(スタッドレス、SNOW、スノーフレークマーク)のどれもない。チェーンを付ければ通れる | チェーンを付ければ通れる |
| オールシーズンタイヤ(スノーフレークマークあり) | メーカー4社は自社製品について通れるとしている。NEXCO中日本の冬道ガイドは降雪状況によって走れない場合があるとし、メーカー3社もエリアや気象条件で走れないことがあると書く | チェーンを付ければ通れる |
| スタッドレスタイヤ | 通れる | チェーンを付ければ通れる |
冬用タイヤやオールシーズンタイヤだけで通る場合は、そのタイヤを全車輪に付けていて、冬用として使える溝が残っていることが前提になります。NEXCO西日本は、冬用タイヤもスノーフレークマークのあるオールシーズンタイヤも全車輪に付けるよう求めています。チェーンは駆動輪に付けるのが基本です。
表は四輪の乗用車を前提にしています。他の車を引くときは、引かれる車にも滑り止めを求める条文が7県(青森県、岩手県、秋田県、福島県、新潟県、石川県、福井県)にあり、二輪車を対象から外している条文もあります。
チェーン規制では、スタッドレスタイヤもチェーンがなければ通れません。オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤで扱いが分かれるのは、冬用タイヤ規制のほうです。
冬用タイヤ規制は四輪駆動車にもかかります。NEXCO中日本は、大雪のときに山間部へ向かう手前のインターチェンジやサービスエリアで、冬用タイヤやチェーンの装着状況をチェックすることがあるとしています。必要な装備は都道府県によって違う、というのがNEXCO西日本と中日本に共通の断り書きです。
冬用タイヤかどうかを見分ける目印として、高速道路3社はタイヤ側面の刻印を挙げています。
| 側面の刻印 | 意味 | 高速道路3社の案内での扱い |
|---|---|---|
| STUDLESS(スタッドレス) | スタッドレスタイヤ | 3社とも冬用タイヤの表記に挙げる(東日本は「スタッドレス表記」と書く) |
| SNOW | スノータイヤ | 中日本・西日本が冬用タイヤの表記に挙げる |
| スノーフレークマーク(3つの峰の山と雪の結晶の絵柄) | 雪道の国際的な性能基準を満たした | 東日本は付けてほしい冬用タイヤの表示に挙げ、西日本はオールシーズンタイヤならこのマークのあるものを全車輪に、と案内する。中日本東京支社は装着率調査で冬用タイヤに数えている |
| M+S(M.S、M&S、M/S) | ぬかるみと雪(Mud+Snow) | 中日本は、この文字のあるオールシーズンタイヤは降雪状況によって走行できない場合があるとする |
スノーフレークマークがあっても、断られる余地は残ります。NEXCO中日本の東京支社は、装着率調査で「スタッドレスタイヤなどスノーフレークマークが表示されているタイヤ」を冬用タイヤに数えました。これは調査での分類で、規制のときの扱いを書いたものではありません。規制時について同社の冬道ガイドが書いているのは、全車輪にスタッドレスタイヤか、駆動輪にチェーンがないと走れないということです。
メーカー側も注意を書いています。ダンロップ、ヨコハマ、グッドイヤー、ミシュランの4社のオールシーズンタイヤの製品ページのうち、ダンロップ、ヨコハマ、ミシュランの3社は、気象条件やエリアによってはオールシーズンタイヤで冬用タイヤ規制を走れないことがあるとし、詳しくは道路管理者に確かめるよう書いています。
マークの有無を確かめる場所は、タイヤの側面です。くるまのニュースによると、国土交通省相武国道事務所は2025年3月、国道20号の大垂水峠で雪の夜に動けなくなった大型トラックが、スノーフレークマークのないオールシーズンタイヤを履いていたと公式SNSで伝えました。溝もほとんど残っていなかったといいます。
チェーン規制の場所は、急な上り下りがある峠などで過去に雪による立ち往生や通行止めが起きたところのうち、チェーンを着脱できる場所などがある区間です。国土交通省は、スタッドレスタイヤでも大雪のときには立ち往生することがあるため、チェーン規制中はチェーンのない車は通れないとしています。四輪駆動車も同じです。装着は規制区間の手前で確かめられます。
国土交通省が挙げている区間は、次の13です。
| 道路 | 区間 | 延長 |
|---|---|---|
| 国道112号 月山道路(山形県) | 西川町月山沢〜鶴岡市田麦俣 | 15.2km |
| 国道138号 山中湖・須走(山梨県・静岡県) | 山梨県山中湖村平野〜静岡県小山町須走字御登口 | 8.2km |
| 国道7号 大須戸〜上大鳥(新潟県) | 村上市大須戸〜村上市上大鳥 | 15.3km |
| 国道8号 石川県境〜坂井市(福井県) | あわら市熊坂〜あわら市笹岡 | 3.2km |
| 国道54号 赤名峠(広島県・島根県) | 広島県三次市布野町横谷〜島根県飯南町上赤名 | 2.5km |
| 国道56号 鳥坂峠(愛媛県) | 西予市宇和町〜大洲市北只 | 7.0km |
| 上信越道(新潟県・長野県) | 信濃町IC〜新井PA(上り線) | 24.5km |
| 中央道(山梨県) | 須玉IC〜長坂IC | 8.7km |
| 中央道(長野県) | 飯田山本IC〜園原IC | 9.6km |
| 北陸道(石川県・福井県) | 丸岡IC〜加賀IC | 17.8km |
| 北陸道(福井県・滋賀県) | 木之本IC〜今庄IC | 44.7km |
| 米子道(岡山県・鳥取県) | 湯原IC〜江府IC | 33.3km |
| 浜田道(広島県・島根県) | 大朝IC〜旭IC | 26.6km |
チェーンは、自動車用品店などで売っているものなら、金属製、ウレタン・ゴム製、布製カバーのどれでも規制を通れます。スプレーで薬剤を吹き付けるものでは通れません。
規制の表示が出ていなくても、滑り止めの決まりはあります。日本自動車タイヤ協会(JATMA)によると、積雪や凍結した路面での滑り止めを義務づける決まりが沖縄県を除く46都道府県にあり、違反すると反則金の対象です。普通車は6,000円、大型車は7,000円です。
JATMAがまとめた46都道府県の条文(2026年8月現在)は、書き方がそろっていません。どんな道路や車が対象かも、東京都は「明らかにすべると認められる状態」の道路、神奈川県は「3輪以上の自動車が積雪の場所を通行するとき」と書くなど、都道府県で違います。
| 条文の書き方 | 都道府県の数 |
|---|---|
| オールシーズンタイヤを名指ししている | 0 |
| 「スノータイヤ」「雪路用タイヤ」「滑り止めの性能を有するタイヤ」など、タイヤの種類を書いている | 36(うちスタッドレスタイヤを名指ししているのは和歌山県と広島県) |
| タイヤの種類を書かず、チェーンを例に挙げるだけ | 9(東京都、栃木県、埼玉県、千葉県、岐阜県、愛知県、滋賀県、大阪府、香川県) |
| 「滑り止めに必要な措置」とだけ書く | 1(福岡県) |
タイヤの種類を書いた36の条文も、オールシーズンタイヤがその言葉に当たるかどうかまでは書いていません。条文の言葉に当てはまるかで迷わずに済むのはチェーンで、46のうち45の条文がチェーン(鎖)を例に挙げています。
京都府の条文は「タイヤ・チェーン、スノータイヤ(凍結している道路を除く。)等」と書き、凍った道路ではスノータイヤを例から外しています。
タイヤの摩耗に条件を付けている県が12あり、そのうち10県は、接地面の突出部の摩耗50%を線にしています。JATMAも、雪道や凍結路を走る冬用タイヤは残り溝が新品の50%以上あるかを確かめ、50%未満なら冬用タイヤとして使わないよう求めています。NEXCO中日本が示すスタッドレスタイヤの使用限界も、新品の50%以下まですり減ったときです。溝が50%減ると表に出る目印(プラットホーム)があるタイヤは、それが出ているかで判断できます。オールシーズンタイヤでも、ヨコハマはプラットホームが出たら雪の上を走らないよう求め、ダンロップはプラットホームが出ると冬用タイヤとして使えなくなるとしています。
JAFは2017年2月、北海道士別市のテストコースで、時速40kmから急ブレーキをかけたときの制動距離を新品のタイヤで測りました(ABSが作動、3回の平均)。
| タイヤ | 圧雪路 | 凍った路面(氷盤路) |
|---|---|---|
| スタッドレスタイヤ | 17.3m | 78.5m |
| オールシーズンタイヤ | 22.7m | 101.1m |
| 夏タイヤ | 29.9m | 105.4m |
| 夏タイヤ+チェーン(非金属) | 28.4m | 59.0m |
| 夏タイヤ+布製カバー(オートソック) | 20.1m | 99.2m |
圧雪路では、夏タイヤとスタッドレスタイヤの差12.6mのうち、オールシーズンタイヤは7.2mを縮めています。凍った路面では、差26.9mのうち4.3mしか縮めていません。スタッドレスタイヤより22.6m長く、夏タイヤとの違いは4%ほどです。使ったオールシーズンタイヤの銘柄は公表されておらず、2017年当時の製品です。
布製カバーでもチェーン規制は通れますが、凍った路面では99.2mで、夏タイヤとの差は6mほどでした。JAFは布製カバーとスプレーについて、繊維が傷んだり液剤が取れたりして性能が安定しないため、あくまで緊急用としています。
坂道でも差が出ました。前輪駆動のコンパクトカーで圧雪路の坂を上った試験では、オールシーズンタイヤは勾配12%の坂を平らな所からなら上れましたが、坂の途中で止まってから発進し直すと上れませんでした。同じ条件で、スタッドレスタイヤと、夏タイヤに付けたチェーン・布製カバーは上れています。勾配20%の坂を平らな所から上れたのは、スタッドレスタイヤだけです。そのスタッドレスタイヤも、勾配20%の坂の途中からは発進し直せませんでした。
JATMAは、スタッドレスタイヤが雪の上と氷の上でどう止まるかを分けて説明しています。雪の上では、深い溝と大きなブロックで雪を踏み固め、ブロックの角で雪を引っかいて止まる仕組みです。凍った路面が滑るのは表面にできる水の膜のためで、スタッドレスタイヤは低温でもしなやかさを失わないゴムと溝の形でこの膜を取り除き、タイヤを路面に密着させています。
メーカー自身の評価も同じ向きです。ヨコハマは自社のオールシーズンタイヤ(BluEarth-AllSeason2)を凍結路で「×」、グッドイヤーは特設ページの表でオールシーズンタイヤを凍結(アイスバーン)で「△」としています。ダンロップの説明では、自社のALL SEASON MAXX AS1は氷上路面を走れないタイヤです。JATMAは、オールシーズンタイヤはどの性能に重点を置くかが商品ごとに違うとして、メーカーのホームページやカタログで確かめるよう勧めています。
氷の上の性能には、国連の規定で決められた基準を満たしたタイヤに付く「アイスグリップシンボル」という刻印があります。ダンロップは、2024年10月に発売したオールシーズンタイヤのシンクロウェザーにこの刻印があり、氷上でのブレーキ性能は同社のスタンダードなスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」と同等だと説明しています。常温ではスタンダードな夏タイヤと同じくらいの硬さを保ち、低温の氷の上ではスタンダードなスタッドレスタイヤと同じくらい柔らかくなるゴムを使った、という説明です。アイスグリップシンボルのあるオールシーズンタイヤは、世界売上上位10社の中でこれだけだとも書いています(2025年11月の同社調べ)。そのダンロップも、過酷な積雪・凍結路面を走るときはプレミアムスタッドレスタイヤを勧めています。
オールシーズンタイヤに想定されている雪は、多くありません。ミシュランは日常的に雪が降らない地域で急に雪が降った場面を挙げ、NEXCO西日本はオールシーズンタイヤを「ちらつく程度の降雪で路面と一部接触可能な積雪状況下での使用を想定したタイヤ」と書いています。先の4社はどれも、スタッドレスタイヤを勧める場面を書いています。ヨコハマは凍結路面や過酷な積雪路面、グッドイヤーは過酷な積雪・凍結があるエリア、ダンロップは過酷な積雪・凍結路面、ミシュランは積雪路や凍結路を日常的に走る場合です。
JAFの試験と重ねると、分かれ目は3つあります。1つ目は、冬に凍った路面を走るかどうかです。雪国でなくても、雪や雨のあとは路面が凍っていることがあり、JAFは路面に雪がないように見えても注意が要るとしています。2つ目は、雪の坂道で止まって発進し直す場面があるかどうか。急な坂ではスタッドレスタイヤでも発進し直せなかった試験結果があり、オールシーズンタイヤに限った話ではありません。3つ目は、年中履いて走る距離が長く、冬が来る前に溝が新品の半分まで減ってしまうかどうかです。
どれにも当てはまらず、雪や凍結の日に車を出さずに済むなら、オールシーズンタイヤの弱いところに出会う場面は少なくなります。
規制とメーカーの線引きから、オールシーズンタイヤを冬に使う前に確かめられるのは3つです。全車輪のタイヤにスノーフレークマークがあるか。溝が冬用として使える深さで残っているか(JATMAは新品の50%以上あるかを確かめるよう求めています。ヨコハマとダンロップは50%減ると冬用として使えないとしているので、プラットホームのあるタイヤは、それが出ていたら冬用に使いません)。タイヤのサイズに合うチェーンを積み、付ける位置(JATMAは駆動輪か、車のメーカーが指定する位置としています)を知っているか。マークがあってチェーンも積んでいれば、冬用タイヤ規制で断られても、チェーン規制でも、チェーンを正しく付ければ通れます。
スタッドレスタイヤの寿命の見極め方とプラットホームの見方はそのスタッドレス、実はもう「ただのゴム」かも?溝だけで判断する危険な落とし穴を、雪の渋滞で車に閉じ込められたときの備えは【保存版】数年に一度の寒波到来。本気で教える「雪道サバイバル」完全ガイドをご覧ください。
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