国土交通省が2026年7月31日13時30分現在でまとめた第12報が出ました。道路の記載は同日10時30分時点です。E3九州自動車道とE3A南九州自動車道の通行止めは、前日から区間数が変わっていません。
そのうえで、動いた数字もあります。緊急車両が通れる区間が1つ増え、都道府県道等の通行止めは2日間で2区間減りました。ガソリンの供給が細っていた理由も、この資料に一行だけ書かれています。
全面的に開く時期は、どの資料にも書かれていません。工場側では8月の再開日を出した会社が出た一方、完成車の工場は8月3日以降を保留しています。
据え置きの行と、減っている行は、同じ表の中で隣り合っています。
第12報が挙げる高速道路の通行止めは次の2つです。
| 路線 | 区間 | 区間数 | 理由 |
|---|---|---|---|
| E3 九州自動車道 | 松橋IC〜えびのIC | 6区間 | 道路損壊、橋梁損傷 |
| E3A 南九州自動車道 | 八代JCT〜田浦IC | 3区間 | 道路損壊、橋梁損傷 |
このうち九州道の坂本PA工事用出入口〜えびのICの3区間と、南九州道の日奈久IC〜田浦ICの1区間は、緊急車両が通行できます。4区間目にあたる日奈久IC〜田浦ICが加わったのは7月30日15時です。
第12報に添えられた道路の被災状況図には、発災から6時点分の推移が並んでいます。
| 時点 | 高速道路 | 補助国道 | 都道府県道等 |
|---|---|---|---|
| 7/28 21:00 | 2路線7区間(点検中) | 1県1区間(点検中) | 3県9区間(点検中) |
| 7/29 08:00 | 3路線17区間(うち2区間が緊急車両通行可) | 1県3区間(点検中) | 3県14区間(点検中) |
| 7/29 14:00 | 3路線17区間(うち8区間が緊急車両通行可) | 1県3区間(点検中) | 3県15区間(点検中) |
| 7/30 12:00 | 2路線9区間(うち3区間が緊急車両通行可) | 1県2区間 | 4県18区間 |
| 7/31 04:00 | 2路線9区間(うち4区間が緊急車両通行可) | 1県2区間 | 4県17区間 |
| 7/31 10:30 | 2路線9区間(うち4区間が緊急車両通行可) | 1県2区間 | 4県16区間 |
高速道路の行は7月30日12時から3時点続けて9区間です。減っているのは括弧の中と、いちばん右の列だけです。直轄国道は7月28日21時に1路線1区間だったものが解消済みで、孤立集落も7月29日8時に1箇所出たあと解消しました。
同じ被災状況図に、宮原SAの管理用出入口を活用して7月31日中に緊急車両へ解放する予定と記載されています。SAやPAの管理用出入口を使う手は、坂本PAで既に取られています。本線が通せない区間で、車を出し入れできる点を追加していく形です。
九州道と南九州道がどう壊れているか、通行可否をどの地図で確かめるかは、九州道・南九州道は橋桁のずれと路面段差で9区間が通行止めをご覧ください。橋梁部のジョイント損傷と桁ずれという壊れ方が、日数の理由です。
都道府県道等の通行止めは4県16区間です。7月30日12時の18区間から2区間減りました。県別の内訳は熊本県12区間、大分県1区間(落石)、宮崎県2区間(落石)、鹿児島県1区間(土砂流入)です。
熊本県の12区間は、第12報が原因別に分けています。
| 原因 | 区間数 |
|---|---|
| 道路損壊 | 4 |
| 橋梁損傷 | 3 |
| 落石 | 2 |
| 家屋倒壊等 | 2 |
| 法面崩落 | 1 |
落石と土砂流入は取り除けば通ります。橋梁損傷と法面崩落は、点検と応急復旧の工程が要ります。家屋倒壊等の2区間は道路構造の問題ではなく、沿道の建物が道路をふさいでいる状態です。原因が違えば戻り方も違うので、16という数字が一様に減っていくわけではありません。
この12区間とは別に、側道橋の落橋が1区間あります。熊本県道42号植柳橋の歩道部です。県道42号八代鏡線は7月30日時点で既に橋梁損傷と落下物・飛来物の両方で通行止めになっていました。
補助国道は7月30日12時から1県2区間で据え置きです。国道218号(宇城市)の新山崎橋と国道219号(八代市)の新萩原橋で、どちらも橋そのものが損傷しています。
一方、直轄国道では応急復旧が進んでいます。熊本河川国道事務所は7月31日、国道3号(八代郡氷川町〜八代市)で災害協力会社の株式会社高野組が舗装の段差を解消する応急復旧を行ったと、7月31日0時20分頃撮影の動画を添えてXで公表しました。同事務所は7月29日にも、国道3号(八代郡氷川町)を緊急復旧して一晩で通行可能にしたと告知しています。被災地への主要アクセスである国道3号と国道57号は、第12報の時点でアクセス確保済みです。
第12報の道路の項に、次の一行があります。
ガソリンの供給について、八代油槽所周辺の道路を速やかに復旧し、30日16時頃から供給が進められている
九州地方整備局は7月31日、Xで理由を書いています。
令和8年熊本地震により、八代油槽所周辺の道路が液状化しガソリンの供給が途絶えていましたが、熊本県及び八代市が連携し、早期に復旧がなされました。
油槽所は、製油所から船で運ばれた燃料をためておき、タンクローリーに積み替えて給油所へ出す設備です。ここから外へ出る道路が使えなくなると、給油所の側に自家発電設備があっても、在庫が尽きたところで給油はできなくなります。停電に備えた住民拠点SSの制度は、この経路の途絶には効きません。熊本県内に312箇所ある住民拠点SSの中身は停電しても給油できる「住民拠点SS」は熊本県内に312箇所をご覧ください。
八代油槽所そのものにどんな被害が出たか、供給量がどこまで戻ったかは、7月31日の時点で公表されていません。資源エネルギー庁の災害情報ページにも、今回の地震の被害報は載っていません。分かっているのは、途絶の原因が液状化した道路で、7月30日16時頃から出荷が動いているところまでです。
工場は7月31日にかけて二手に分かれました。8月の日付を出した会社と、週明けの判断を保留した会社です。
| 拠点 | 7月31日時点で公表されている内容 | 出所 |
|---|---|---|
| ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング 熊本テクノロジーセンター(菊陽町) | 8月4日より段階的に操業再開予定。8月中旬に地震発生前の稼働水準へ復旧見込み | 7月31日 会社発表(第2報) |
| 三菱電機 半導体・デバイス事業 熊本地区(合志市ほか) | 設備立上げが完了した工程から順次、7月30日午後より操業再開 | 7月30日 会社発表 |
| ルネサス 錦工場(球磨郡錦町) | 7月29日夜より順次生産再開 | 7月30日 会社発表(第2報) |
| ルネサス 川尻工場(熊本市) | 8月5日より順次生産再開予定 | 7月30日 会社発表(第2報) |
| 東京エレクトロン九州 合志・大津(合志市・大津町) | 8月3日から本格生産を再開する方針 | 読売新聞 7月30日 |
| ヤマハ発動機 子会社工場(八代市) | 7月31日まで操業停止。8月3日以降の再開は未定 | 読売新聞 7月30日 |
| ホンダ 熊本製作所(菊池郡大津町) | 7月31日まで稼働停止。再開は状況を見て判断 | 7月29日 会社発表 |
| 三菱自動車 水島製作所(岡山県倉敷市) | 7月30日夜から一部車種の生産停止 | 読売新聞 7月30日 |
ソニーセミコンダクタソリューションズが7月31日に出した第2報は、熊本テクノロジーセンターについて「建屋および設備の安全確認と復旧作業を進めた結果、8月4日(火)より段階的に操業を再開する予定です。なお、8月中旬には地震発生前の稼働水準へ復旧する見込みです」としています。この表に並ぶ8拠点のうち、完全復旧の時期に触れているのはここだけです。
三菱電機は7月30日、半導体・デバイス事業の熊本地区生産拠点について「建屋に大きな損傷は確認されておらず、クリーンルームの稼働を再開しております」「設備立上げが完了した工程から順次、7月30日午後より操業を再開しております」と公表しました。7月29日の時点では安全確認のため操業停止中で、設備と生産への影響を確認中という内容でした。ここが1日で動いています。
東京エレクトロンは7月29日の第2報で、東京エレクトロン九州の本社(合志市)と大津事業所について「安全点検をおこなった結果、建屋や設備に大きな被害はありませんでした。週明けからの生産・開発における工場の本格稼働に向けて、引き続き、安全を最優先で復旧を進めてまいります」としたうえで、「業績への影響は軽微と判断しております」と書いています。8月3日という日付を出したのは読売新聞の7月30日の記事で、同社が7月31日までに出した発表3本(7月28日、7月29日の第2報、7月31日の義援金拠出)には入っていません。ヤマハ発動機の八代市の子会社工場も、読売新聞の報道に依っています。
完成車の側は保留が続きます。ホンダは7月29日の発表で、熊本製作所を7月31日まで稼働停止とし「今後の稼働再開については状況を見て判断します」としました。トヨタ自動車九州の宮田・小倉・苅田の3工場も7月31日まで停止で、8月3日以降の稼働は7月31日に判断すると報じられています。
工場が止まる理由は、熊本県内と県外で違います。県内は揺れそのもの、県外は部品供給です。この構造は岡山の三菱自動車まで生産停止―熊本の部品と半導体が止まると九州の外へ波及するをご覧ください。
高速道路の9区間は3時点続けて同じで、補助国道の2区間も据え置きです。動いたのは、緊急車両が通れる区間の数と、都道府県道等の区間数と、工場側の再開日でした。
被災地へ車両や部品を運ぶなら、本線の解除を待つより、SA・PAの管理用出入口と国道3号の段差解消のほうが先に効きます。燃料の補給計画では、途絶の起点が給油所の設備ではなく油槽所の外の道路にありました。8月3日の週の生産計画は、再開日を出した4拠点と、保留している完成車工場とで扱いが分かれます。
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整備士オンラインは、令和8年熊本地震による道路・燃料・生産の状況を追っていきます。