**女性整備士は体力的にきつい?10年選手が語る「ラチェットが重い」壁の乗り越え方と未来のキャリア
「今日もタイヤ交換の連続で腕がパンパン……」
「先輩たちは軽々とこなす作業が、どうしても力負けしてしまう」
「この仕事を一生続けていけるのかな?」
朝、ツナギに着替える時に鏡を見て、そんな不安を抱いている女性整備士の方は少なくありません。それもそのはず、国土交通省のデータ(令和4年度)によれば、整備士全体に占める女性の割合はわずか2.3%。現場の設備も、工具のサイズも、作業手順のスタンダードも、その多くがいまだ「男性の体格」を基準に作られているからです。
しかし、現場で10年のキャリアを積んだ先輩・Yさんは笑って言います。
「最初はね、ラチェット1つでも手が痛くなるくらい重く感じたんです。でも、腕力がないことは、整備士失格の理由にはなりません」
今回は、女性整備士が直面する「体力の壁」の壊し方と、その先に広がる多彩なキャリアパスについて、現場のリアルな視点でお伝えします。
整備の仕事=力仕事、というイメージは根強いですが、プロの世界では「力任せ」はむしろ怪我やボルトの破断を招くリスクになります。
力が足りないなら、長さを味方にしましょう。短いラチェットで踏ん張るのではなく、ロングラチェットやスピンナハンドルを積極的に活用してください。
「道具に頼るのは甘え」なんていう古い考えは無視してOK。少ない力で確実にトルクをかけるのが、賢いプロのやり方です。
腕の力だけで回そうとせず、体重を乗せる、あるいは脇を締めて体幹を使う。Yさんも、大きなタイヤを運ぶ際は「持ち上げる」のではなく「転がす・膝を支点にする」といった、体を痛めないフォームを数年かけて習得したと言います。
男性社会の現場において、女性整備士は「異質な存在」ではなく「独自の武器を持つスペシャリスト」です。
「40代、50代になってもリフトの下に潜り続けられるか?」という不安に対し、今の業界には多くの選択肢が用意されています。
正直に言えば、まだ更衣室が不十分だったり、制服のサイズが合わなかったりする職場もあります。しかし、大手企業を中心に「女性専用設備の設置」や「育児と両立できる短時間正社員制度」の導入が急速に進んでいます。
もし今の職場で「女性だから」という理由で不当な扱いを受けたり、設備面でどうしても限界を感じたりした時は、外の世界を見てみてください。あなたの持つ「国家資格」と「現場経験」を喉から手が出るほど欲しがっている企業は、他にたくさんあります。
ラチェットを重く感じたあの日から10年。Yさんは今、後輩たちにこう伝えています。
「整備士は、車を直すだけの仕事じゃない。お客様の不安を解消し、安全な未来を届ける仕事。そこには女性の視点が絶対に必要なの」
今の苦労は、決して無駄ではありません。あなたが現場で工具を握り続ける姿は、いつか整備士を志す女の子たちの「希望」そのものになります。
無理をしすぎず、でも着実に。あなたらしい整備士の形を、一緒に作っていきましょう。